Natural architecture oil

古来、日本において建築の仕上げに塗料として用いられてきた天然油。用途、基材にあわせて桐油、荏油(えごま油)など数種類を使い分けます。

サンプル展示

KYOTO(京都市下京区)

TOKYO(東京都渋谷区)

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※最新のサンプル展示状況はMTRLまでお問合せください。
株式会社山中油店様へお問い合わせの際は、MTRL Webサイトで見たとお伝えください。

日本建築の仕上げ材として古くから用いられてきた、天然植物油。
用途や質感、木の種類にあわせ、様々な種類の油を使い分けられてきました。

日本の木造建築に適した利点が数多くあるのが特徴です。

  • 永続する塗装:特に柿渋で溶いたベンガラを塗布し、油で仕上げをしたものは紫外線劣化に強く、塗装完了後は1年に1度油で磨くだけで、数百年という長い間、美しい状態を保ちます。古来「家は建ててからが育てるもの」と言われた日本の文化に合致しています。
  • 多湿な気候への適合:分子構造のサイズが化学塗料に比べて小さく木材の呼吸を妨げないため、多湿な日本の国土でも柱が腐りにくくなります。
使い方

かつて各家庭で塗装が行われてきただけあり、難しい工程ではありません。

  • ベンガラ塗装:まず柿渋とベンガラを混合して木に塗布し、乾燥後に油を塗るという2工程です。屋外の塗装によく用いられました。
  • 直接塗装:柿渋とベンガラを使用せず、油だけで仕上げることもあります。柿渋だけを塗布する場合もあります。屋内の防汚、防水などに用いられます。

※ ただし、塗装面となる木がカンナがけやペーパーがけ、化学塗料による塗装仕上げを一度でも経ている場合、木の表面の細かい穴が埋まって自然塗装用油が入りこめなくなるため、塗装できなくなってしまうことは注意点となります。

取り扱いの山中油店について

山中油店は京都に店舗を構える油の専門店。
食用油のほか、美容用途の油、そして建築用の油も扱っています。
化学抽出油ではなく非加熱圧搾の油を中心に扱うため、植物油本来の性能が活かせることが特徴です。
油による木材仕上げのワークショップを行って利用方法を啓蒙したり、共に使用するための柿渋やベンガラも併せて販売をしています。
創建200年を超える木造の店舗では油による仕上げをした壁や柱を実際に体感することができます。

仕上げ用油のラインアップ

荏油
原料:シソ科 荏(え)ごまの種子
種類:乾性油(塗装表面に硬い膜を作る油で、耐水性・防腐性を高める)
特徴:古来より建築用に使われる油。粘度は中位。塗装後時間が経つとほのかにあめ色になります。やや香ばしいやさしい香りで、建物内部での使用に適しています。
国産荏油
原料:国産の荏ごまの種子
種類:乾性油(塗装表面に硬い膜を作る油で、耐水性・防腐性を高める)
特徴:国産の荏ごまだけを絞った建築用油。この油はお口に入れられても問題ありませんので、木製の食器、お箸などの塗装にもご使用いただけます。
桐油
原料:油桐の種子
種類:乾性油(塗装表面に硬い膜を作る油で、耐水性・防腐性を高める)
特徴:防水性があり、木材だけでなく、古くは雨具にも使用された油。粘度が高く、硬くて透明感のある膜をはりますが、臭いはややきつめです。時間が経っても色の変化は少なく、強い塗膜を形成するので、外壁など雨風のよく当たる部分での使用に適しています。
亜麻仁油
原料:アマの種子
種類:乾性油(塗装表面に硬い膜を作る油で、耐水性・防腐性を高める)
特徴:粘度は低く、さらっとしています。紫外線に当たると徐々に変色し、1年ほど経つと明るい茶色になります。
くるみ油
原料:くるみの種子
種類:乾性油(塗装表面に膜を作る油で、耐水性・防腐性を高める)
特徴:この油はお口に入れられても問題ありませんので、木製の食器、お箸などの塗装にもご使用いただけます。
菜種白絞油
原料:一年草のアブラナ科 菜種の種子
種類:半乾性油(乾燥に時間がかかる油で、手入れや艶出しに使う)
特徴:菜種を精製した油。木に塗布、浸透させ防腐、防水効果を持たせます。食用としても使われるほか、歴史的にはお灯明の油として使われてきました。
椿油
原料:藪椿(やぶつばき)の種子
種類:不乾性油(乾燥しにくい油で、しっとりした手触りになる)
特徴:オレイン酸含有率が高く皮脂に近い性質があり、古来より女性の髪、肌の手入れに使われた最高級の油。木に塗ると表面がしっとりと仕上がり深い艶が出ることから、高級家具の仕上げに使われてきました。

柿渋とベンガラ

柿渋
成分:タンニン
特徴:渋柿を発酵させて作られる塗料で、防腐防虫効果があり、古くから紙や布の染料として、木造建築の塗料として使用されてきました。塗装の際、柿渋でベンガラを溶くことにより、木部との接着性がよくなり色が落ちにくくなります。ベンガラを混ぜず柿渋単独で塗装すると、数ヶ月で透明感のある明るい茶色になります。
ベンガラ
成分:酸化鉄
特徴:着色力が大きく、耐熱性、耐水性、耐光性に優れています。柿渋で溶いて木材の塗装に使用します。時間が経っても変色しにくいので、外壁の塗装に適しています。京都は茶、備前は赤など、地域ごとに特有の色が使われ、街並みの統一感を形成していました。

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