- Project Report
“技術競技会”を、社員の意識改革の場へと再設計 組織文化を変える「技ノリンピック」のしかけ
ロフトワークはこの第9回 技ノリンピックにおいて、大会のコンセプト設計から、クリエイティブ制作、イベントの企画・設計、オンライン配信を含む大会当日の運営、そして大会後のアーカイブ制作までを一貫して支援。大会の実施とその発信を通じて、技術員のモチベーション向上と社内外へのサービス価値の発信に貢献し、PMJのブランド強化と顧客満足度向上を捉え直す機会を創出しました。

Output
ダイジェスト動画
全国から集まる技術員たちにより盛り上がりを見せた大会当日の様子を、映像に記録。約2分のロング版と約1分のショート版の2本のダイジェスト動画を制作しました。ロング版では大会で行われた競技の様子を重点的に描写、選手の真剣な眼差しや大会会場の様子などが伝わるようなカットを採用。ショート版ではアップビートな音楽を用いることで、大会の熱量を端的に表現しました。
キービジュアル
大会ロゴタイプおよびキービジュアルは、パナソニックグループのコーポレートカラーでもある「青」を基調に制作。参加者の方に長く気に入っていただけるようプロジェクトメンバーとディスカッションを重ね、今回の競技内容にある家電をデザインに落とし込み、大会やツールなどの展開を見据えたグラフィックへと昇華させました。

ビジュアルを展開した会場装飾
キービジュアルは、空間装飾やデジタルサイネージなどに展開。デザインが活用されたフロアマップや選手紹介プロフィールの装飾、垂れ幕、バナースタンド、バックパネル、ポスターなどの空間装飾を会場ホールに配置することで、今大会の特別感や期待感、統一感を醸成しました。長さ4mもの大判垂れ幕やバナースタンドには耐久性の高い布素材が用いられ、今後の大会実施時にも繰り返し活用できるなど、素材の選定においても継続性を考慮しました。
Process

「技ノリンピック」開催を支援する同プロジェクトは大きく2つのフェーズに分かれて進行しました。
Phase1(2024年6月〜2024年9月)では、技ノリンピックという大会の認知を促し、参加する参加意欲を向上させるためのクリエイティブ制作を担当。ビジュアルやロゴデザインの制作を行いました。
Phase2(2024年11月〜2025年5月)では、大会の運営準備から当日の大会運営までを担当。配信環境の準備・整備、会場装飾、その他制作物における展開デザイン作成を通じて、大会全体のスムーズな進行と会場の熱気をつくり出す演出企画、大会運営に貢献しました。全国大会は2025年3月13日、パナソニックリゾート大阪で開催されました。
オンライン配信と社内外連携による一体感の醸成
以前は技術員と社員のみが参加するクローズドなイベントであった同大会。今回はオンライン配信の実施のほか、イベントの進行台本を競技や演出ごとに14本制作するなど、安定した運営・演出・配信を行うための準備と当日運営を徹底。さらに、MCのあまり氏による実況解説付きのリアルタイム配信レポートにより、会場にいない社員や関係者も大会の熱気を共有でき、会場に居るかのような高揚感が伝わり、社内外のステークホルダーにPMJ CS社の活動を認識してもらうことにも繋がりました。
企画から全国予選、全国大会を通した一連のプロセスで、クリエイティブ面、演出面、制作面をサポート。「技ノリンピック」大会の全体品質向上に寄与しました。

また、全国予選と全国大会を実施するにあたり、大会運営のマニュアル制作補佐や演出企画といった実務を通して大会全体の品質向上に寄与しました。
Approach
技ノリンピックの意義と技術員の想いの可視化・アーカイブ化
大会の様子や技術員の想いを社内外に発信し、アーカイブとして残す取り組みも行われました。ロフトワークは、大会ダイジェスト動画の制作に加え、出場選手やパナソニック マーケティング ジャパン株式会社 CS社 山本信義社長へのインタビューを通じた記事化(パナソニックのオウンドメディア『Make New Magazine』への掲載)も支援。これにより、技ノリンピックの目的や技術員の熱い想いが共有されるほか、アーカイブされた動画は将来の採用活動への活用も想定されています。
Outcome
全国レベルの競技と交流が、技術員たちの学びの機会に
6年ぶりの開催にも関わらず、全国のCS社、販売店から総勢1503名の修理技術員が応募。地域予選を勝ち抜いた52名の技術員が今回の全国大会に進出しました。
参加選手たちは互いの技術と業務の手際を観察しあい、全国トップレベルの技術や、無駄のない動きを間近で見たことで多くの学びと刺激を得たといいます。また、知識やスキルを磨き、現場で実践したいという意欲向上の声も見られました。日頃一人で業務を行うことが多い技術員にとって、他の拠点で働く人々と交流する貴重な機会となりました。

修理業務への誇りを再認識し、技術員の言語化を促す
競技性のある大会設計により、「技術力を上げ、競技に勝ちたい」という内発的なモチベーションが向上。大会を通じて、技術員たちはそれぞれが「エッセンシャルワーカーであるという自負」や、お客様の生活を支える自らの仕事に対する誇りを再認識したといいます。
修理と顧客対応は、パナソニックグループのブランド価値を高める上で重要な部門にあたります。そうした部門においてお客様の期待を超える新しい顧客体験価値を提供していくための、技術員の意識向上に寄与しました。
パナソニックグループのオウンドメディア『Make New Magazine』に掲載されたイベントのレポート記事では、実際に競技会に参加した技術員たちが登場。技ノリンピックの熱戦を振り返るとともに、修理業務にかける思いを自身の言葉で語っていました。
家電をご利用いただいていると、いつか必ず不具合は起きるはずなので、私たちの仕事はお客さまの日々の生活に必要不可欠なものです。実際、コロナ禍でも、修理サービスのご依頼は絶え間なく入ってきていましたし、今後も新しい商品が生まれ続ける限り、私たちの仕事はなくならないなと実感していました。そんなエッセンシャルワーカーであるという自負を胸に、常日頃から勉強を欠かさず、何かお困りごとがあったときにはすぐに対応できるよう、万全の体制を整えておきたいです。
──修理技術員 菊田さん
サービスの根幹である技術・応対スキルを高いレベルに引き上げ、自己スキル向上の風土を醸成することを目的に開催された今大会。開催された技ノリンピックの当日の熱気と、社内外からの反応を得たことで、技術員のモチベーション向上はもちろん、PMJの技術と提供価値を認知拡大させるための社内外コミュニケーション施策として、この大会が有効であるという示唆を得ました。全国1500人の技術員たちの技術力と想いが発露する場所が、企業の価値を磨き、伝える場となりました。
Member's voice
プロジェクト担当者のことば
初の試みで不安も多かった技ノリンピック。準備中は悩むこともありましたが、ロフトワークさんと共に無事に開催できました。参加者の前向きな声に救われ、努力が報われたと感じています。関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
──パナソニックマーケティングジャパン株式会社 CS社 岩佐様
イベント企画のプロ・ロフトワークさんとご一緒できたことは、大変貴重で感動的な経験でした。過去大会では私自身が出場選手だったこともあり、この大会への思い入れは人一倍強かったです。無事に成功を収めることができたのは、関係者の皆さまのご尽力の賜物です。心より感謝申し上げます。
──パナソニックマーケティングジャパン株式会社 CS社 中久喜様
本番当日を迎えるまでは悩みも尽きませんでしたが、ロフトワークさんに支えていただきながら無事に開催することができました。
多くの方から「良かった」と声をかけていただけた瞬間、これまでの努力が報われた喜びと達成感は、何物にも代えがたいものでした。
パナソニックブランドを支える皆さまの熱意に触れ、記憶に残る特別なイベントとなりました。
──パナソニックマーケティングジャパン株式会社 CS社 槇野様
ロフトワーク プロジェクト担当者のことば
実際にビジュアル制作を行ったり、大会実施に向けて運営チームで準備したことを通して、「参加した社員が盛り上がる大会」を当日に実感していただけたと考えています。またロフトワークをはじめとした外部スタッフが関わったことで、第3者的な視点を持ちながら、大会実施まで一丸となって走り抜けたのではないでしょうか。大会当日、修理技術員の皆さんが懸命に競技を行っている様子から「修理技術へ懸ける思い」はもちろん、その真剣な眼差しにとても胸を打たれましたし、また運営チームのみなさんが「選手が集中して競技に取り組むためには?」「修理技術の競技の見せ所は?」などと日夜議論している姿を見て、日頃からPMJ社や取り組まれている事業に対して真摯に向き合っていることを感じました。
技術力を高めるだけでなく、それぞれの仕事への思いを可視化できる「技ノリンピック」という文化に携われて、いち社会人としても大変学びが多かったです。
──株式会社ロフトワーク 三浦永
「技ノリンピック」プロジェクトを通じ、パナソニックさんとご一緒してきた中でも、パナソニックブランドを支える皆さまの鍛錬の現場に関わらせていただけたことは、大変貴重な経験となり、嬉しく思っています。イベントの現場では、製品への揺るぎないこだわりに加え、喜びや悔しさ、競技にかける熱い想いなど、みなさんの感情の機微を間近で拝見することができました。大会は、多くの方々のバトンが繋がれながら築き上げていて、その一体感を肌で感じることができました。また、「ぜひうちの製品でも実施してほしい」との声が来賓の方から寄せられたことは、大会の意義を感じられるコメントで感銘を受けました。「ブランドは社員のみなさまで支え合いながらつくっている」という想いを改めて強くいたしました。
緊張感やライブ感、意義深さが感じられる本大会がこれからも長く続き、鍛錬と精進の場として存続していくことを、心より願っております。
──株式会社ロフトワーク 長島絵未
Credit
プロジェクト基本情報
- クライアント:パナソニック マーケティング ジャパン株式会社 CS社
- プロジェクト期間:2024年6月〜2025年月(クリエイティブ企画〜当日運営〜アーカイブ制作)
- 支援スコープ:ロゴタイプ・キービジュアル企画・制作、大会告知用Webサイトの仕様検討、大会告知Webサイト情報設計、大会イベント企画・設計(イベント・演出企画、進行台本制作、運営マニュアル制作補佐)、キービジュアル展開デザイン制作、装飾デザイン制作、大会演出スタッフアサイン、配信環境設計・運営、担当エリアの運営・監替、当日の記録撮影、大会当日の映像撮影配信業務、大会ダイジェスト動画2本の制作、実施内容記事制作(取材、執筆、編集)
体制
- ロフトワーク
- プロジェクトマネジメント:三浦 永
- クリエイティブディレクション:安永 葉月,長島 絵未,村元 壮
- プロデュース:長島 絵未
- フェロー:小原 和也
- 制作パートナー
- グラフィックデザイン:松井正憲(METER Inc.),田中えりな
- テキストライティング:野本纏花
- 撮影(スチール):村上大輔, 山元裕人
- 撮影(ムービー):中村真実、大江孝明(CIRCLE Inc.)
- 動画制作:中村真実、大江孝明(CIRCLE Inc.)
- 映像配信企画・制作:岩沢 卓(岩沢兄弟)
- MC:MCあまり(Afro&Co.)
*所属および肩書きはプロジェクト実施当時のものです。