• Event Report

Material Meetup TOKYO vol.04

Material Meetup TOKYO vol.04 「化学の力」レポート

2019年6月20日(木)に開催されたMaterial Meetup vol.4のテーマは「化学の力」。原子・分子の世界は一見すると縁遠い世界のようにも感じられますが、今、メーカー各社は素材をコミュニケーションの手段として捉え、新たな可能性を見出すアプローチを始めています。先進的な素材や取り組みを学び、参加者も触発され大いに盛り上がったイベントの模様をレポートします。

日本中のユニークな素材に触れられるクリエイティブ拠点・FabCafe MTRLでは、素材のメーカーとクリエイターが一堂に会して素材の魅力を語り尽くす「Material Meetup TOKYO」を定期的に開催しています。

2019年6月20日(木)に開催されたMaterial Meetup vol.4のテーマは「化学の力」。原子・分子の世界は一見すると縁遠い世界のようにも感じられますが、今、メーカー各社は素材をコミュニケーションの手段として捉え、新たな可能性を見出すアプローチを始めています。先進的な素材や取り組みを学び、参加者も触発され大いに盛り上がったイベントの模様をレポートします。

開催概要:Material Meetup TOKYO vol.04 「化学の力」https://mtrl.com/tokyo/event/material-meetup-tokyo-vol-4/

 

マーブル模様の発泡素材、曲面にフィットする電子回路……
化学の力で素材はここまで進化している

ユニークな素材や技術を紹介する「Material Meetup TOKYO」。
今回もイノベーションの可能性を存分に秘めた素材が集まり、参加者の注目を集めました。

 

▲ 三和化工株式会社 営業本部 関東支店 齊藤拓人氏

【COLOR POLYMOCK(三和化工株式会社)】

発泡素材の開発・製造に携わり半世紀。プールのビート板など、三和化工の製品には誰もがきっとお世話になったことがあるでしょう。同社が開発した新しい素材「COLOR POLYMOCK(カラーポリモック)」は、発泡素材が持つ既存のビジュアルイメージを覆し、新たな可能性を切り拓こうとしています。

クリエイターからの逆指名によって始まった開発プロジェクト。ビート板にも使われている発泡素材のチップを熱圧着して作られており、軽量でクッション性があります。同時に、二つとないカラフルなマーブル模様は個性的で、これまでの発泡素材の朴訥とした印象を大きく変えました。当初は開発に半信半疑だった社員の方々も、いざ実物を目にすると「かわいい!」と大絶賛だったといいます。

IFFT/インテリアライフスタイル2018でお披露目されたCOLOR POLYMOCK。現在はクッションや時計、ベンチといった身近なインテリアを中心に採用されていますが、「あくまで我々は素材メーカー。さらに活用し広めてくれるパートナーをまだまだ求めている」(齊藤さん)と、今後の展開に意欲的な姿を見せました。

 

▲ パナソニック株式会社 電子材料事業部 事業開発センター 武田剛氏

【熱硬化性ストレッチャブル材料(パナソニック株式会社)】

パナソニックといえば家電ブランドのイメージが先行しますが、元はといえば配線器具を開発、販売したことがルーツ。製品の改良を重ねるために、あらゆる材料技術を研究してきた歴史があります。その研究は今も脈々と受け継がれ、電子回路基板の材料や半導体を保護する封止材料といった電子機器に欠かせない素材を開発する事業部が活動しています。

彼らが研究開発している新しい素材「熱硬化性ストレッチャブル材料」とは、今まさにニーズの高まっているウェアラブルデバイスに適した素材です。優れた耐熱性を有する熱硬化性樹脂の特徴を維持しながら、高いストレッチャブル性と応力緩和性を実現しました。この素材を用いて作られた電子回路は、従来の電子回路のようにはんだでコンポーネントを接着することができますし、関節などの曲面にもフィットするしなやかさを持っています。

これまでは縁の下の力持ちとしてエレクトロニクス系の分野を中心にニーズを探ってきたという電子材料事業部ですが、今後はより広い視野で活用の場を見出すことができそうです。熱硬化性ストレッチャブル素材の活躍に期待が高まります。

▲ 三井化学株式会社 コーポレートコミュニケーション部 PRグループ/MOLp 松永有理氏

素材を通じて新たなコミュニケーションを生む、「MOLp®」のアプローチ

では、いまだ日の目を見ない新しい素材たちが今後社会に溶け込み機能していくためには、どのようなアプローチができるでしょうか?三井化学株式会社が取り組む組織横断的なオープン・ラボラトリー活動「そざいの魅力ラボ MOLp®」の発起人であり、同社で広報を務める松永有理さんにお話を伺いました。

三井化学の社内で発足した「そざいの魅力ラボ MOLp®」。「楽しいと人は能動的になる、人が集まる」という発想のもと、部門や社歴の垣根を超えて、約20名のメンバーが月間半日程度のペースでゆるやかに活動しています。

「Create new communication via materials」というビジョンを掲げ、彼らはさまざまな素材のバリューチェーンの開拓に挑戦しています。たとえば、スマホのカメラレンズに使われる素材は、ぶつかると金属にも似た高い音が出ることを生かして風鈴へ。これまで課題と捉えられてきた側面を魅力に転じさせ、素材に新しい価値を生み出しています。

2018年度には海水から生まれたNAGORI®樹脂が素材としてグッドデザイン賞を受賞、2019年3月には初の単独展示会「MOLpCafé」を開催し、素材が生み出す新たなライフスタイルを提案しました。さらに注目すべきは、自主性に委ねられた課外活動がゆえに、メンバー自身が存在意義やスキルを改めて実感できるという点。社外だけでなく社内にもコミュニケーションのきっかけを創出しています。

「達成型組織ではない自由な場だからこそオープンコラボレーションが生まれ、相互進化が起きている。自分は何ができるのか、どういった貢献ができるのか。MOLpを通して社会からの期待に応えることで、組織のモチベーションを育てていきたい」(松永さん)

「なかのひと」が語る素材の面白さと難しさ、振り返りトークセッション

最後には3名の登壇者が揃ってクロストークセッションを展開。「なかのひと」がもつ固定観念と外部からの反応とのポジティブなギャップ、そしてそれが現場のモチベーションになっているというお話や、業績に直接大きな影響を与えない取り組みが社内で「居場所」を確保するコツなど、当事者ならではのエピソードが窺えました。

特に今回の登壇者は素材を組成する分子、原子レベルから素材を作り上げている方々ばかり。極論を言えばありとあらゆる可能性を含む反面、どこにどうアプローチして領域を広げていくべきかという課題も感じられました。無限の可能性を受け入れ、興味を持ってくれる人には積極的にアプローチして、小さくとも着実に成功例を増やしていくことがひとつの鍵と言えそうです。

登壇者への質問が相次ぐも時間は21時。FabLab Kamakuraからの飛び入りプレゼンテーションもあり、興奮冷めやらぬまま終演となりました。トーク終了後も各社ブースでは、素材に触れてみたり担当者に話を聞いたりと賑わいは遅くまで続いていました。

素材はインスピレーションを生む、創造性の源。単体で世に出るものではないからこそ、MOLpのようにコミュニケーションを生み出すことが素材の活路を広げ、それを形にするパートナーの存在が重要であると各社のセッションから痛感しました。「Material Meetup」も、素材を通してコミュニケーションを生み出す場のひとつとして引き続き機能できればと考えます。

Material Meetupは、FabCafe MTRL(東京)とFabCafe Kyoto(京都)でそれぞれ開催中。東京ではおよそ隔月で開催しています。次回も日程が決まり次第MTRL TOKYOのウェブサイトやSNSでお知らせしますので、ご興味ある方はぜひご参加ください。