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次世代のフレキシブル基板「P-Flex™」の製造工場に潜入! – エレファンテック株式会社訪問レポート

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こんにちは、MTRL TOKYO(FabCafe MTRL)ディレクターの弁慶です。
マテリアルでは、様々な素材を起点にしたプロジェクトや企画を行っていますが、中でもストーリーがあり、特徴のある”素材の入居”にも力を入れています。
今回は、次世代のフレキシブル基板「P-Flex™」のMTRLへの素材の入居に伴い、都内23区内にある製造工場を訪問してきました。その様子をレポートいたします。
フレキシブル基板「P-Flex™」を開発しているのは、東京の八丁堀にあるフレキシブル基板製造メーカー「エレファンテック株式会社」です。エレファンテック株式会社は、旧AgIC社が社名変更に伴い誕生した企業です。

そう、MTRLでも設置しておりましたあのペンで回路が描けるマーカー「AgIC」を開発していた企業です。

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現在ではAgICの販売機能などは手放し、新製品であるフレキシブル基板「P-Flex™」の製造をメインに展開しています。

 

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フレキシブル基板「P-Flex™」とは、耐熱PETにインクジェットプリンタで銀ナノインクを印刷し、その上から無電解銅めっきを形成する「プリントした銀の回路の上に銅めっきを重ねるという技術(ピュアアディティブ™法)」で製造されたフレキシブル基板(Flexible Printed Circuits)です。

これまでの電子回路は、フォトリソグラフィと呼ばれる、全面に金属を貼った上で不要な部分を溶かす、という製法で作られてきました。エレファンテックの開発したピュアアディティブ™法は、これまでとは全く逆の発想で、必要な部分にのみインクジェットで金属ナノ粒子を印刷し、さらに無電解めっき技術で金属を成長させるという独自の製造技術です。

その結果、従来製法で必要だった「版」が不要となり、材料、工程が削減され、大幅なコスト削減と納期の短縮化を実現しました。多品種小ロット生産や試作工程などに活用が期待されます。(エレファンテック株式会社ウェブサイトより:https://www.elephantech.co.jp/products/pflex/

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三ヶ月前に引っ越して来たばかりという東京の八丁堀にある工場兼オフィスは、もともとは印刷工場跡地で、以前はワインの保管所として使われていた工場をリノベーションしたそうです。
入り口には名称変更に際してデザインされた企業ロゴが(なんと銭湯絵師による手描きで!)とても大きく描かれていました。このファサード部分は、アートディレクターであるMTDOの田子學氏によるデザインなのだそうです。

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入り口に入ってすぐ横には、メッキ加工などをした際に発生する産廃用の缶がどーんとお出迎え。普通の工場では廃液タンクは隠すものですが、ロゴを配置しあえて見せるようにデザインされたそうです。

また、エレファンテックが開発した基板の製造法では、従来よりも廃液量が10分の1になることから、廃棄用のタンクなどは少ない用意で済むのだそうです。

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工場兼オフィスはなんと屋上含め5フロアあります。研究開発、製造エリアとオフィスエリアが入り混じった設計になっています。

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工場エリアの中の設備は研究開発の関係上、掲載できないのですが、都内の一等地とは思えないような重厚で高価な設備が所狭しと設置されていました。

工場エリアでは、フィルムの印刷〜焼成〜めっき〜レジスト〜カット、検品まで、シームレスな製造が一貫で行えるような環境になっていました。

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「P-Flex™」には、その製造方法の革新性だけではなく、デザイン性も意識したつくりになっています。
サンプルでもわかるように、基板の色として基本的に利用される緑以外にも、シルクスクリーンによる印刷を施した白や黒といった、デザイン性を意識したプリント基板もつくることが可能なのだそうです。

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また、基板の薄さもこの1年間で75μm薄くすることを実現。薄さの実現に伴って、柔軟性も増し壊れにくくなりました。そのために様々な機器への埋め込みやすさも格段に上昇したそうです。

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取締役副社長の杉本さんは、経営の傍らFabCafeやMTRLが開催するイベントやコミュニティに積極的に参加してくださり、これまで様々なコラボレーションをしてきました。

2016年のFabCafe Tokyoのハロウィンイベントでは、「Window Hack Paint」と題したハロウィン特別仕様のドクロのイラストをMTRLの入居素材である「AgIC、MESH、マスキングカラー」を組み合わせて制作しました。
https://fabcafe.com/tokyo/events/halloween2016

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そんなクリエイティブへの興味関心、自らも創り出すことにも挑戦し続ける杉本さんに、あえてこの規模の製造を都内でやることへのこだわりを語っていただけました。

我々MTRLやFabCafe/FabLabのような、アイデアをすぐ形にできるような試作を推し進めるプロジェクトスペース/コミュニティが少しずつ増えてきている中で、その先にあるものづくりとして「検品工程などの品質管理までをも含めた、多品種小ロット生産や本格的な開発を伴う工程」をコンパクトに実現してしまうようなものづくりの環境こそ、次の時代に必要な制作環境なのではないかと杉本さんは熱く語っておられました。

東京・銀座から徒歩圏内の都内一等地に構える次世代型の生産拠点から生み出される数々のプロダクトにこれからも目が離せません。
MTRLでも、夏に新しいワークショップを企画中ですので、ぜひご期待ください!

【MTRL TOKYOで取扱い開始しました!】
フレキシブル基板(FPC) P-Flex™/Flexible Printed Circuits P-Flex™
https://mtrl.com/materials/elephantech_pflex/