• Project Report

共創型の空間デザインで、アイデンティティを守りながら未来を切り拓く パナソニック インダストリー 実験室改装プロジェクト

Outline

社員自ら描いた“共創のかたち”を具現化、
創造的で豊かなモノづくりアイデアが生まれる場づくりを支援

パナソニック インダストリー株式会社(以下、PID)は、“つくることが捗る、自分たちらしい実験室をリデザインしよう! “をキーワードに、「働く場所や、つくる・発想が生まれる場所とは何か」を考え、コンセプトデザインや空間設計を実施した。

約5ヶ月間のプロジェクトでは、計4回のワークショップを実施。PIDのメンバー・建築士・ロフトワークメンバーを交えて、施設名称や空間活用を検討するアイディエーションを行った。

ワークショップなどを通じて浮かび上がった課題を解消すべく、空間を「活発なコミュニケーションを促し事業創出へとつながる『動的な場』」と、「開発テーマごとの長期プロジェクトを推進し、実験や検査の作業を行う『静的な場』」へとゾーニングを決定。そのなかに「アイディエーション」「ショーケース」「エクスパンション」「コワーキング」「タッチアップ」の5つのスペースを設けた。

空間の随所には、拡張性や可変性を想起させる「単管」でつくったオリジナルの什器を多数配置。工業用フォントを用いたサインや、元の実験室で使用されていた作業用机の脚部からインスピレーションを受けた“グリーン”のカラーをデザインに取り入れることで、モノづくりのアイデンティティや場のストーリーを表現した。

「ハード(空間)」と「ソフト(運用)」のアップデートを図るだけでなく、ワークショップを通じて共創の価値を自ら体感することで、使い手であるPID社員自身の意識改革にもつなげることができた。

Project Summary

  • かつて「実験室」と呼ばれていた空間のモノづくりの対象を、アイデア発案・開発・推進・共創が生まれるまでに拡張する空間へアップデート
  • 柔軟性・拡張性の高いデザインでコミュニケーションを誘発、人やモノ・技術が行き交う場を設計
  • 社員がワークショップに参加し理想の働き方や開発環境をともに思い描いたことにより、共創意識を醸成

執筆:野本 纏花
編集:岩崎 諒子/Loftwork.com編集部
写真:足袋井 竜也

Process

Outputs

Staff Credit

  • 施主:Panasonic Industry Co.,Ltd.
  • ディレクション:MTRL by Loftwork
  • 設計・監修:kvalito
  • 施工:小林工芸社

Member

株式会社ロフトワーク, MTRL クリエイティブディレクター
小林 奈都子

東京藝術大学大学院デザイン科空間設計橋本研究室卒。組織設計事務所関係のインテリアデザインファームに所属。インテリアデザイナーとして内装設計に留まらず、サインやアート監修や家具設計まで幅広く手掛ける。その後、インテリアの知見を活かして人々の生活空間に寄り添うデザイン活動に携わりたいという想いから、家具販売ECの商品企画開発へ転身。素材を活かしたカフェテーブルやスツールなど数々の商品の企画から設計、製造管理、サイト掲載まで一貫して従事。
そうした経験から、材料関連の製造現場を通して、デザインシンキングやデザイン経営の重要性に気付かされ、2022年ロフトワークへ。趣味は夫と一緒に建築、空間、スパ巡り。

https://loftwork.com/jp/people/natsuko_kobayashi

株式会社ロフトワーク, MTRL プロデューサー
金 徳済

兵庫、大阪で在日コリアンとして育つ。London College of Fashion(ロンドン芸術大学)スポーツウェアデザイン専攻。卒業後は海外インターンを経て上京。ヨネックスとGUで商品企画、デザイン、開発を行う。海外、モノづくり、仕組みづくりに関心がある。個人、組織、社会の課題解決と価値創造に取り組みたいと思い、ロフトワークに入社。

株式会社ロフトワーク, MTRL クリエイティブディレクター / 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 リサーチャー
柳原 一也

大阪府出身。2018年ロフトワークに入社し、翌年からMTRLに所属。大阪の編集プロダクションで情報誌や大学案内などの制作を行った後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科へ入学。身体性メディアプロジェクトに所属し、修士課程修了後リサーチャーとしてHaptic Design Projectの運営に携わる。プライベートでは大学院時代の友人と「GADARA」名義で自然物とテクノロジーの調和をテーマに制作活動を行っている。

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