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Tangible Scientific Design: 科学とデザインの未来を紡ぐ新プロジェクトが始動

科学の研究成果は、社会にどのようなインパクトを与えるのか――この問いに新たな光を当てるプロジェクト“Tangible Scientific Design”(タンジブル・サイエンティフィック・デザイン)が始動します。
本プロジェクトは、学術と産業の間に横たわる溝をデザインの力で埋め、現代を生きる私たちに新たな洞察と価値をもたらすことを目指します。

科学と感性が交わる、体感的価値の創造

自然界の成り立ちを知る、それが科学という行為です。科学は、人と社会に功利をもたらす技術を育み、私たちが社会と接する面には、常に科学技術が作用しています。未知の領域を開拓し、新たな知識を獲得することで力を得ていた時代を経て、地球の有限性が明らかになった現代、知識の量的拡大は、私たちの幸福と必ずしも比例しません。むしろ、知識を適切に使用することが、現代に発揮される力だと言えます。つまり、科学技術を編み直し、社会の文脈の中で意味を持たせるデザインが、価値を作るのだと私たちは考えます。そしてそれは、人の感性に基づいて行われるものです。科学の探求とともに、感性を探求する。科学と感性の重なる点にある「体感性(タンジビリティ)」こそが、社会を創造的に革新する鍵です。Tangible Scientific Designは、科学技術とデザインを体感的に解釈・接続し、科学と私たちを新しい関係性でつなぐメディアです。

産学連携に立ちふさがる課題

・研究者のPRや営業活動の難しさ

研究者は日々の研究活動や教育活動に追われ、自らの成果を広く社会に伝えるためのPRや営業機会を十分に活用できていない現状があります。

・社会実装の機会が少ない

研究の成果が社会に実装される機会がなければ、経済活動や市場にインパクトを与えることは難しく、将来的な予算の獲得にも影響します。一方、企業の経営者やR&D担当者も、産学連携を実現するための具体的な機会が少なく、高いハードルに直面しています。

・研究と産業の間の隔たり

数多くの研究者が存在する一方で、ビジネスとの接点や社会とのつながりを持つ機会が限定的です。

Tangible Scientific Designは、これらの課題を乗り越えるべく、研究データと市場データをデザインでつなぎ合わせる全く新しい試みです。

Tangible Scientific Designの取り組み

・体感型デバイスや作品の展示・体験会の実施

研究室の外に出る機会があまりない実験ツールやプロトタイプを、企業に届けるためにFabCafehttps://fabcafe.com/jp/tokyo/)で展示し、体験会を実施します。さらに、本メディアに参加するクリエイターの作品も展示し、科学技術とデザインの融合を体感できる場を提供します。

過去の展示紹介

・企業と研究者のネットワーキング創出

体験会を通じて、企業のR&D担当者が研究室と直接つながる機会を提供し、産学連携の可能性を広げます。

・研究最先端のリアルを発信

研究室への取材を通じて、研究の現状や課題を等身大の視点で伝え、協業パートナーとなりうる企業を募ります。過大に脚色するのではなく、資金面の現状や研究のハードルをそのままお届けすることで、実直な価値観の共有を目指します。

・プロダクトアウトの実現支援

企業と研究者のコラボレーションを支援し、新たなサービスや製品を市場へ届けるまでのプロセスを包括的にサポートします。

・フィードバックの循環構築

体験者から得られる実践的なフィードバックを、再び科学研究へ還元する循環型の仕組みを目指します。

サイエンスとデザインの相互作用を探る

本プロジェクトは単なる技術の進化を追求するものではありません。私たちは、サイエンスとデザインが相互に作用することで生まれる新たな価値を探求し、次代のライフスタイルに根ざした実用的な価値創出を目指します。一人ひとりが自分自身の本質に触れ、価値観を深化させる機会を提供することこそが、このプロジェクトの掲げるビジョンです。

過去事例紹介

新たな産学連携の形を目指して

Tangible Scientific Designは、企業と研究者が共に未来を切り開く新たな連携の形を示します。ネットワーキング、プロジェクト企画、マネジメントから市場への製品投入まで、プロジェクトを一貫してサポートするこの取り組みは、従来の産学連携の枠を超えた可能性を秘めています。
Tangible Scientific Designが生み出す未来の価値を、あなたも体感してみませんか?

Tangible Scientific Designは、noteでの発信を中心に活動していきます。
Tangible Scientific Design noteはこちらから

Tangible Scientific Design 編集部

株式会社ロフトワーク, MTRLプロデューサー / コピーライター / ラッパー
MAO

イノセント代表。早稲田大学卒業後、広告代理店でコピーライターとして勤務。2021年に独立し、広告や新規事業の企画、コンセプトワークを中心に活動。現在はロフトワークFUTURE TEAMで企画とライティングを担っている。また、裏ではラッパーとして世相を斬っている。

株式会社ロフトワーク, MTRL事業責任者 / 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科特任研究員
小原和也(弁慶)

2015年ロフトワークに入社。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了(デザイン)。素材/材料の新たな価値更新を目指したプラットフォーム「MTRL」の立上げメンバーとして運営に関わる。現在は事業責任者兼プロデューサーとして、素材/材料基軸の企業向け企画、プロジェクト、新規事業の創出に携わる。モットーは 「人生はミスマッチ」。編著に『ファッションは更新できるのか?会議 人と服と社会のプロセス・イノベーションを夢想する』(フィルムアート社,2015)がある。あだ名は弁慶。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科特任研究員。

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株式会社ロフトワーク, MTRL クリエイティブディレクター / 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 リサーチャー
柳原 一也

大阪府出身。2018年ロフトワークに入社し、翌年からMTRLに所属。大阪の編集プロダクションで情報誌や大学案内などの制作を行った後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科へ入学。身体性メディアプロジェクトに所属し、修士課程修了後リサーチャーとしてHaptic Design Projectの運営に携わる。プライベートでは大学院時代の友人と「GADARA」名義で自然物とテクノロジーの調和をテーマに制作活動を行っている。

株式会社ロフトワーク, MTRLプロデューサー / コーヒーエンジニア
大西 陽

ヨーロッパを中心にファッションデザイナーとして活動後、2012年帰国。
複眼的な視点を持ったデザインを行いたいという想いから、分野の垣根を超えた接点を持つ食の分野に興味を抱く。2014年よりFabCafe Tokyoでディレクター、リードバリスタ、コミュニティマネジャーとして勤務し、FabCafeに集まる多種多様なコミュニティと多くの企画やプロジェクトを立ち上げる。2024年よりロフトワーク MTRL所属プロデューサー。

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