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Material Meetup KYOTO vol.05 レポート:「刺繍」から素材とデザインのイノベーションを考える一夜

本記事は、2019年11月22日に開催された『Material Meetup KYOTO vol.5』のレポートです。

「古くて新しい『刺繍』の可能性 – 糸によるサーフェスと質感のデザイン-」をテーマにした今回のミートアップは、ファッション / デザイン / 繊維素材に携わる方を中心に約80名が参加する熱気に溢れた時間となりました。刺繍のテクノロジーとイノベーションについてのインスピレーションといくつものコラボレーションの種が生まれた一夜、その様子をお届けします。(text : 木下浩佑 [MTRL])

「刺繍」をテーマに、総勢80名が集まった一夜

2019年11月22日、FabCafe Kyoto (MTRL KYOTO)を舞台に、『Material Meetup KYOTO vol.5』が開催されました。

Material Meetupは、毎回異なる素材や技術に焦点を当てて、様々なゲストのプレゼンテーションやトークからイノベーションを探求する場。京都編第5回となる今回は、「糸によるサーフェス(表面)と質感のデザイン」がテーマ。平日にも関わらず、総勢 約80名の繊維 / アパレル関連企業・クリエイター・研究者・メディア関係者が集まる、熱気あふれる一夜となりました。

Material Meetup KYOTO vol.5「糸によるサーフェス(表面)と質感のデザイン」

身近な技術である「刺繍」ですが、そのためのツールであるデジタル刺繍ミシンは、「さまざまな繊維素材をすぐにデザインして加工できる」という点で、実は衣料品の製造以外の領域においても活用される可能性をもっています。たとえば「壁紙に刺繍をしてみたら…?」「私たちの寝具に導電糸を刺繍して体調をセンシングできないか…?」などなど。今回は、工業用刺繍ミシンの世界的メーカー タジマ工業さんとともに、ファッション / デザイン / 繊維素材 に関わるゲストをを迎えて、刺繍のテクノロジーとイノベーションについて考えます。(Material Meetup KYOTO vol.5 イベントページより)

「刺繍」を切り口に、素材とデザインのイノベーションについて考える

プレゼンテーションは、大きくは下記のような流れで構成されました。

1. 様々な産業で活用される、工業用デジタル刺繍ミシンのテクノロジーを知る

2. 機能性 / 意匠性の両面から「刺繍」による新たなクリエイティブ・表現を提案する

3.  「刺繍」テクノロジーによるオープンイノベーションの可能性を探る

4. 糸やテキスタイルなど、「刺繍」が活用される繊維素材の事例や展開、課題について考える

「刺繍」を切り口に、加工技術 / 素材 / 製品のデザイン / 仕組みのデザイン …など多角的なアイデアや事例に触れることで、来場された方それぞれにとって、「刺繍のテクノロジーを活用する」ことへの新しい気づきやコラボレーションのきっかけが生まれています。

タジマ工業さんの刺繍ミシンのさまざまなサンプルが集合。
当日は、プレゼンター以外にも素材を持ち込んで展示される方もいらっしゃいました。
デジタル刺繍ミシン「彩 sai」の実機も展示されました。
プレゼンター同士の交流もミートアップの醍醐味のひとつ。新しいコラボレーションへの期待が膨らみます。

プレゼンター & プレゼンテーションテーマ(*登壇順)

メインプレゼンターとして今回お迎えしたのは、タジマ工業株式会社さん(工業用刺繍ミシンメーカー)、近藤 正嗣さん(テキスタイルデザイン会社 pole-pole, デザイナー)水野 大二郎さん(デザインリサーチャー、京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab特任教授)…の3組。

加えて、飛び込みショートプレゼンテーション “ライトニングトーク” では、樋口 大さん(株式会社精研 代表取締役)、石川 亮太さん(泉工業株式会社・営業セクション)、北林 功さん(COS KYOTO株式会社 / MoonShine Materials)にも急遽ご登壇いただき、合計6件のプレゼンテーションが展開されました。

タジマ工業株式会社さん(工業用刺繍ミシンメーカー)

Presentation 1: 『TAJIMAブランドの刺繍テクノロジー』

樋口 大さん(株式会社精研 代表取締役)

Presentation 2: 『写真刺繍の世界』

近藤 正嗣さん(テキスタイルデザイン会社 pole-pole, デザイナー)

Presentation 3 :『サーフェスデザインと刺繍』

水野 大二郎さん(デザインリサーチャー、京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab特任教授)

Presentation 4: 『Embroidery design and the possible future』

石川 亮太さん(泉工業株式会社・営業セクション)

Presesntation 5 :『装飾性 / 機能性 両面からファッションを支えるラメ糸の世界』

北林 功さん(COS KYOTO株式会社 / MoonShine Materials)

Presentation 6:『地場産業の素材の世界における可能性と課題』

刺繍ミシン「彩 sai」ハンズオン

ミートアップの翌日から一週間、同会場のFabCafe Kyotoでは、タジマブランドの小型高性能デジタル刺繍ミシン「彩 sai」の無料体験イベントが併催されました。(イベントページ:https://mtrl.com/event/kyoto/1911_sai-hands-on/

会期中は、ミートアップで刺繍ミシンに関心を持った方や、自身の制作やビジネスでの刺繍ミシン活用を検討されている方など、連日多数の方が来場。ミシンの操作方法や刺繍データの作成方法、様々な素材への加工実験など、大規模な展示会や短時間のショールーム見学等では難しい、プロフェッショナルな質問・相談をじっくりと行える機会となりました。

メーカーの方に直接質問・相談しながら実機体験できるハンズオンブースをFabCafe Kyoto店内に設置。
糸の色を選んだり、持込み素材で実験したりと、「本気で使いたい」方の細かなオーダーにも対応。

今後もMTRLでは「素材 / テクノロジー / クリエイション」をテーマに、ものづくりに携わる方達がオープンに出会い、コラボレーションのきっかけを創り出す機会を続けてまいります。どうぞご期待ください!

*次回予告*  Material Meetup KYOTO vol.6は2019年12月18日(水) 開催です。テーマは「進化する『染色』技術と素材」。お申込みはこちらから

Material Meetup とは

Material Meetup は、「素材」をテーマに、ものづくりに携わるメーカー、職人、クリエイターが集まるミートアップ。

  • 新しい領域でのニーズや可能性を探している、「素材を開発する」人
  • オンリーワンの加工技術をもつ、「素材を加工する」人
  • 持続可能な社会を目指して、「素材を研究する」人
  • 機能や質感、意匠性など、複合的なデザインを行ううえで様々なマテリアルを求めている、「素材からデザインする」人

…そんな人々が「デザインとテクノロジー」そして「社会とマテリアル」の観点から、業界の垣根を超えてオープンに交流し、新たなプロジェクトの発火点をつくりだす機会を継続的に開催しています。

カタログスペックだけではわからない素材の特性や魅力を知り、その素材が活用されうる新たな場面(シーン)を皆で考える。「素材」を核に、領域横断のコラボレーションやプロジェクトの種が同時多発する場。それが Material Meetup です。

2018年のスタート以降、東京・京都の各拠点ごとに、それぞれ異なるテーマを設け継続開催しています。

■ Material Meetup 過去開催情報:https://mtrl.com/projects/material-meetup/

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