- Event Report
Material Meetup TOKYO vol.01 レポート
2018年11月21日(水)に開催された記念すべき第1回目のテーマは「反応するマテリアル」。
当日のイベントの様子をレポートいたします。
Material Meetup TOKYO とは?
素材が生まれた背景や経緯、技術・デザイン面の小話や、用途開発の取り組みなど、さまざまな切り口で素材がもつ魅力を解体し、吟味。作り手であるクリエイターやデザイナー、売り手であるメーカーが集い、素材を肴にものづくりを夜な夜な語り尽くす——素材を起点としたクリエイティブラウンジ、MTRL TOKYO ならではのイベントです。
オーガナイザーは、MTRL TOKYO プロデューサーの小原和也(弁慶)と、ふしぎデザイン代表の秋山慶太さん。
まな板にのせられた素材たちをさばいていきます。
左:小原和也(弁慶)(株式会社ロフトワーク/FabCafe MTRLプロデューサー) 右:秋山慶太(ふしぎデザイン 代表)打ち合わせもおそろいの特注はっぴでしたとかしないとか
Material Meetup TOKYO
vol.01「反応するマテリアル」おしながき
「サンルミシス」
セントラルテクノ株式会社(以下、セントラルテクノ)齋藤周史さん
左:セントラルテクノ株式会社 東京事務所 所長 齋藤周史さん 右:ブラックライトを当てることで発光・発色する蛍光体「サンルミシス」のインキで印刷されたサンプル
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「3Dプリンター用“感温性”フィラメント」
ユニチカ株式会社(以下、ユニチカ)中谷雄俊さん
左:ユニチカ株式会社 繊維資材生産開発部 第2グループ 中谷雄俊さん 右:“感温性”フィラメントで造形されたバラ
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「プチプチ」
川上産業株式会社(以下、川上産業)杉山彩香さん
左:川上産業株式会社 プチプチ文化研究所 常務取締役 杉山彩香さん ※プチプチは川上産業株式会社の商標登録です
素材の解体ショー
素材の「解体」タイムでは、素材に関するエピソードや企業が抱える課題などのディープな話題を、元メーカー勤務で現プロダクトデザイナーの秋山さんならではの視点で切り込んでいきます。
鶏と卵。用途が先か、開発が先か
元来化学品の商社であるセントラルテクノと、繊維メーカーのユニチカ。「サンルミシス 」も「“感温性”フィラメント」も、一体どういった経緯で開発するに至ったのでしょう。
[ Case: 01 ] ニーズに応じて形を変える「サンルミシス 」
「サンルミシス」には、蛍光技術自体は大学の研究室で生まれ、セントラルテクノがそれを製品化したという経緯があります。印刷や塗装インキ以外にも、3Dプリンター用フィラメントや、クリスチャン・ディオールのマニキュアに活用されるなど、用途は様々。
ウェブサイトでは用途から商品を探して購入できますが、開発も同様に顧客のニーズに応える形で進むことも多いそう。相談してみれば、あなたの「こんなこと出来ないかな」を実現できるかもしれません。
[ Case: 02 ] ユニチカにおける開発
今回のフィラメントに関してはちょっとした悪ノリで開発(!)。
ただし、ユニチカでは「求められた素材を作る」という流れが9割で、悪ノリで出来た「“感温性”フィラメント」は社内でも変わり種。今回もやっとのことで営業担当者をイベントに連れ出すことに成功したそうです。「“感温性”フィラメント」は、形状の修正が可能な工業用治具などへの展開も見据えているそう。「変わり種」が変革のタネとなっていくのか、今後が楽しみな素材です。
▲「作ったからには広めないと」と笑う中谷さん。研究者ながら自分の足で営業もしてしまうそうです
“ワクワク感”を社内にも伝える大切さ
B to B(=企業向け)のメーカーにとって、to C(=消費者向け)の活動は肩身がせまいのが実情。その点、杉山さん率いるプチプチ文化研究所は株式会社バンダイと共同で「無限プチプチ」を商品化するなど、社内の風土として「遊び」への理解がある印象です。どのようにして社内への理解を深めたのでしょう。
[ Case: 03 ] プチプチが文化になるまで
「プチプチ」といえば割れ物を送る際には欠かせない梱包材として広く知られていますが、実はそれだけではありません。ポスターになり、触って楽しめる広告として使われることもあれば、「プチプチ」にまぎれたハート形の「ラッキープチ」を見つけた人がすこし幸せな気分になったり。また、空気を多く含む特性を生かして寝袋を製作。被災者のあたたかい寝具として活躍するなど、梱包材以上の存在として常に進化し続けています。
これらのキャッチーな試みは、新卒採用で他社との差別化に繋がったり、メディアに取り上げられたりすることで社内の認識も変わってきたのだそう。
▲ プチプチとグラビア印刷したフィルムを貼り合わせて出来ているラッピング材「浮世絵ぷちぷち」。改めて汎用性が高すぎる……
実食・ネットワーキング
素材を知ることができるだけでなく、人と人のつながりが生まれるのがMaterial Meetup の醍醐味です。オンラインだけでは決して生まれない「出会い」があります。
当日は定員をはるかに上回る入場者数。参加者の内訳は、クリエイターやデザイナーと、企業からの参加者が半々ほどとなりました。
まぐろも今でこそ王道の寿司ネタですが、赤身、中とろ、大トロなど、美味しい部位や食べ方が広められるまでは、あまり重宝されていなかったとか。会場で飛び交う疑問やアイデア——「素材をどう調理するか」は、作り手と売り手共通の悩みなのかもしれません。
素材とアイデアを仕入れる場所。次回のMaterial Meetupもお楽しみに。
【マテリアルミートアップが京都でも開催! Material Meetup KYOTO vol.1】
MTRL TOKYOのブランチ、MTRL KYOTOでもミートアップが始動!
京都でも着々と育ちつつある「素材」を起点にしたネットワークや素材に紐づくプロジェクト、京都でも起こりつつある「素材のイノベーション」をカジュアルに体験できるイベントです。東京でのイベントにどうしても参加できなかった関西方面に在住のみなさま、是非この機会にご参加ください!
Material Meetup KYOTO vol.01 「SDGs時代の素材と社会的ニーズ」
日時:2018年12月18日(火)19:00-21:00(開場:18:30-)
会場:MTRL KYOTO
〒600-8119 京都府京都市下京区本塩竈町554
定員:50名
参加費:1,000円(ワンドリンク)
*学割:学生の方は学生証提示で50% OFF
詳細はこちらから→ https://mtrl.com/kyoto/events/181218_mmk_01