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LEXUS DESIGN AWARD デザインで未来を引き寄せるアイデアソン開催レポート

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2019年9月28日、29日の2日間に渡り、「LEXUS DESIGN AWARD 2020」アイデアソンが開催されました。「LEXUS DESIGN AWARD」とは、豊かな社会とより良い未来を作るデザインを生み出すため、気鋭のクリエイターの育成・支援を目的に2013年に創設された国際コンペティション。昨年度は65カ国から1548作品の応募があり、6つの入賞作品から1作品のグランプリが選出されました。

LEXUS DESIGN AWARDではファイナリストに選出されると、2020年4月開催のミラノデザインウィークに招待され、そこで世界に向けて作品を発表することができます。ファイナリストにはプロトタイプ制作の制作支援金として最大300万円が支給されるほか、ニューヨークで行われるワークショップを皮切りに世界で活躍するデザイナーやエンジニア、建築家ら4人のメンターによるメンターシップを受けることができ、世界の舞台へと飛躍するチャンスを得ることができるのです。

アワード8回目となる今回は「Design for a Better Tomorrow.」をテーマに、レクサスが重視する「Anticipate(予見する)」「Innovate(革新をもたらす)」「Captivate(魅了する)」の3つの基本原則を体現するアイデアを募っています。

今回、LEXUS DESIGN AWARD応募へのサポートとして開催されたアイデアソンでは、プロダクトデザインの第一線で活躍するクリエイターを講師に迎え、インプットからアイデア検討まで網羅するプログラムを実施しました。

有機的なプロセスが新たな価値を創る

第1日目、「Vision & Design DAY of DIVERSIFY」をテーマに、インプットセッションを行なったのは、we+の安藤北斗氏と林登志也氏。we+は2013年に「新たな視点と価値をかたちにする」コンテンポラリーデザインスタジオとして設立。コミッションワークやブランディング、プロダクト開発など、さまざまな企業や組織のプロジェクトを手がけています。

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「デザインにおけるメインストリームがソリューションや機能性に基づいた商業的なものだとすれば、僕らはそれらをリスペクトしたうえで、ブランチ(支流)を作ろうとしている。今の価値観や尺度においては支流であっても、10年後20年後には本流になる可能性もある。未来を作っていくため、オルタナティブな選択肢を提示することが僕らの役割なんです」と語る安藤氏。そのアティテュードは、水流を用いて時の流れと対峙させるローテーブル「MOMENTum」、時間経過のプロセスを成形に応用したブロンズチェア「Drought」など、数々の作品で表現されています。

we+が作品作りにおいて実践しているのは、「問いの投げかけ」と「表現の見立て」という二つのベクトルを掛け合わせること。進化速度、既存の社会フレーム、変革のプロセス、そして時代のデザインのあり方に対して、仮説や疑問を投げかけ、「時間軸を捉える」「自然現象を取り入れる」「原体験を共有する」「『目置き(ぼんやりと見ること)』ができる」といった切り口で適切な表現を探っていきます。

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そのプロセスは「アジャイル開発やラピッドプロトタイピングに近い」と林氏が話すように、コンセプトメイキング→リサーチ→コンセプトメイキング→プロトタイピング/デザイン→プロダクションと、ステップを段階的かつ一方向に進めるのではなく、それぞれが行きつ戻りつしながら、議論の中でデコンストラクション(脱構築)を繰り返す有機的な方法。「情報が瞬時に移り変わる現代において、これまでの一方通行なやり方では通用しない。頭だけでいろいろと考えるより、まずはやってみて、起こった現象がより魅力的なものなら、それに合わせてコンセプトもアプローチもブラッシュアップしていく。そのほうが表現として強いものになると考えているのです」(林氏)

視点を変えれば可能性が広がる

第2日目のテーマは「Tech & Material DAY of SOLUTION」と称し、プロダクト開発で不可欠な「素材」にフォーカス。MTDOの田子學氏がインプットセッションを行いました。田子氏は東芝で家電や情報機器のデザイン開発を担当し、Amadanaの立ち上げに携わった後、2008年にMTDO inc.を設立。さまざまな企業や組織に対するデザインマネジメントを通じて、ブランディングやUX、プロダクトデザインなど一気通貫した新たな価値創造を実践しています。

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「デザインにはもっと社会を変える力がある」と話す田子氏が、2015年からクリエイティブパートナーとして携わるのは、三井化学のオープン・ラボラトリー活動「そざいの魅力ラボ(Mitsui Chemicals Material Oriented Laboratory:MOLp/モル)」。たとえばメガネなどに使われるプラスチックレンズ分野では98%以上のシェアを誇るなど、私たちの身近にあるものに利用されている三井化学の素材を、異分野に応用する取り組みを続けています。

クリエイティブな発想の根本原理として、田子氏が挙げるのは「見方を変える」「考え方が変わる」「伝え方が変わる」という3つのポイント。「一つの素材やテクノロジーを俯瞰して、『既存のマーケットだけに収めるのはもったいない』という視点で見方や考え方を変えると、これまで想像もしなかったマーケットが生まれ、伝え方も変わるのです」(田子氏)。

それがまさに実現したのは、MOLpが開発した熱伝導プラスチック樹脂「NAGORI™(波残)」。陶器のような重みと素材感、熱伝導性を持つ特殊な素材で、プラスチック食器の「おいしく感じられない」弱点を克服しました。また、組成素材の約80%として海水を真水化する際に抽出される残渣(海洋投棄物)を利用し、SDGsの課題解決にもつながるプロダクトとなっています。

「日本にはすでに優れたテクノロジーもアイデアもある。もっと自信を持って世界へ出すべき。今日お伝えした『クリエイティブな脳になるもっとも簡単な方法』を使って発想力を引き出せば、可能性は広がるのです。次は、皆さんの番。今日この日がその第一歩となれば幸いです」(田子氏)

デザインには社会課題を解決する力がある

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第1日目は「サイエンスフィクションプロトタイピング」の手法を使ったコンセプトメイキング、第2日目はステンレスメッシュやアルミハニカムなど特殊素材を用いたプロトタイピングなど、2日間のワークショップを通じて参加者はプロダクトデザインのプロセスを実践。会場の至るところで講師やファシリテーターに熱心に質問し、参加者同士でフィードバックし合う様子が見受けられました。

コンセプトの背景には個人的な課題意識から、昨今の自然環境に対する課題意識の高まりを受けて持続可能性を追求するプロダクトなど、多様な未来を作るアイデアの数々が生まれました。

参加者からは「今までにない発想法を知ることができた」「自分のアイデアの傾向について知る機会となった」などといった声があがり、今後のプロダクト開発へのモチベーションアップにつながる場となりました。

昨年の入賞作品には乳房切除手術を受けた人のためのレース製下着「Algorithmic Lace」や洪水被害を受けても居住できる住居「Baluto」など社会課題に立脚したものも多く、いかにデザインによってソリューションを提示できるかどうかも、入賞に近づくポイントと言えるでしょう。

LEXUS DESIGN AWARD2020へのエントリーは10月14日(月・祝)までと、締切間近。このアワードが新たな世界を開く扉となるかもしれません。次世代クリエイターの挑戦を心よりお待ちしています。

LEXUS DESIGN AWARD2020へのエントリーに関する詳細はこちら

開催風景

会場風景
Lexus International岡澤さんよりLEXUS DESIGN AWARDの概要説明(Vision & Design DAY of DIVERSIFY)
川崎 和也氏
ワークショップファシリテーターはスペキュラティブファッションデザイナー川崎 和也氏が担当 (Vision & Design DAY of DIVERSIFY)
フィクションの世界からプロダクトアイデアを検討(Vision & Design DAY of DIVERSIFY)
we+林さん(講師)とのディスカッションする参加者(Vision & Design DAY of DIVERSIFY)
アイデアを全員で共有後、we+安藤さん(講師)からフィードバック(Vision & Design DAY of DIVERSIFY)
アイデアを全員で共有後、we+安藤さん(講師)からフィードバック(Vision & Design DAY of DIVERSIFY)
鈴英 佐川さん(メーカー担当者)から素材の特徴についてレクチャー(Tech & Material DAY of SOLUTION)
五感を使って素材を分析する(Tech & Material DAY of SOLUTION)
五感を使って素材を分析する(Tech & Material DAY of SOLUTION)
ダーティプロトタイプを参加者全員で共有(Tech & Material DAY of SOLUTION)