創業78年。想いと技術力を丁寧に紐解き国内外へ
ブランディングムービー制作

プロジェクト事例 ― 株式会社特殊金属エクセル

培ってきた技術・想いを動画に込め、社内外に発信する

株式会社特殊金属エクセル(以下TOKKIN)は、創業78年を迎える高機能金属材料メーカー。コア技術(精密圧延技術、組織制御技術、複合材製造技術)を組み合わせた、高付加価値の金属材料を開発・製造・販売しています。

あらゆる部門が切磋琢磨し、多岐に渡る顧客からのオーダーに応えきる、組織間連携力と開発力が生む総合的な対応力を強みとして、世界でもオンリーワンの製品を数多く保有しています。創業以来つくり続けた高機能金属材料は5万種類を超え、国内外を問わず、人々の生活に欠かせない様々なプロダクトの部品に採用されています。強みを支えているのは、製造・開発・営業現場の一人一人が持つ、自発性と挑戦するマインドです。

これらの企業価値や組織文化を、国内外の市場や採用候補者へと発信すると共に、TOKKINの皆さん自身も社の理念やミッションを再確認するため、コミュニケーションツールとしての映像の制作を検討。ロフトワークとのプロジェクトがはじまりました。

プロジェクト概要

  • 課題・背景
    ・企業価値や文化を、既存顧客をはじめとした国内外の市場へと伝えたい
    ・社員自身に自社の理念やミッションを再確認してもらいたい
  • 支援内容
    ・事前リサーチとゴール設定
     - 社史から企業情報を、社員から普段の仕事内容をリサーチ
     - リサーチ結果から、課題とゴールを整理して言語化
     - 活用目的・場面とそれぞれに必要な特性も整理
    ・構成案の作成
     - 言語化した目的と、制作するムービに込めたい特性に基づいて、撮影カットを整理
    ・撮影・楽曲選定
    ・映像編集・MA
     - スタジオ・技術者・ナレーターのアサイン
     - ナレーション原稿の作成
     - 英語字幕の挿入
     - MAディレクション
  • 体制
    クライアント:株式会社特殊金属エクセル
    プロデュース:井田 幸希
    プロジェクトマネジメント:黒沼 雄太
    クリエイティブディレクション:黒沼 雄太
    撮影・編集ディレクション:田村 祥宏、西澤 英樹(EXIT FILM)

Output

TOKKINの強みの一つである組織間連携力を強調する手段として、トランジションエフェクトを活用しています。また、皆さんの、普段の仕事の様子を丁寧に写し取ったドキュメント映像を主役に据え、働く日々そのものが壮大な挑戦であり、一人一人がTOKKINの主役であることを表現しました。

Process

事前リサーチとゴール設定

プロジェクト開始時、TOKKINの皆さんが、過去、自らの手で編纂した約70年分の社史を熟読。組織のこれまでの歩みと、現在見据えている目標への理解を深めました。加えて、COOをはじめとする、製品製造現場で働く数名にご協力いただき、TOKKINの開発力や製品の、国内外の市場における強みや今後の戦略、目標達成のために現場で行われている工夫についてのヒアリングを実施。これらのリサーチを通して、プロジェクトの前提や、具体的に何がTOKKINを伝えるイメージとして適切なのかを考えました。

集めた情報をふまえ、現状の課題と、課題を克服して到達したいゴールを言語化。さらに、今回のアウトプット=映像が、どの課題の克服を後押しし得るかを想定し、整理しました。

その上で、制作する映像の役割を「ゴールへ向かうために行う、様々なコミュニケーションの場において、コミュニケーションの部品として機能するツール」と定義。

続いて、映像が部品として機能し得るコミュニケーションの場を具体的に想像します。各々の場において、目的達成の観点から、映像の中にどのような特性がある事が望ましいのかを逆算しました。

構成案の作成

主役に据えるべきイメージを定める

ムービーに要求される特性が定まったところで、具体的にどのようなイメージが適切なのかを考えて、複数の企画を提案。その中から「製造現場の皆さんの自発性や挑戦心」と、社内の複数の部門が切磋琢磨し続けている「組織間連携の強さ」をハイライトする演出や構成を行うことを選択しました。

一人一人が技能と技術を磨き、知恵と力を出し合うことで着実に歩んできたTOKKINの「強さ」を伝える映像の主役には、地に足のついた強さを持ち寄って生き抜いてきた、TOKKINの皆さん自身を据えることが相応しいのではないか、という判断からの選択でした。

主役を引き立たせる演出を施す

複数の部門それぞれにおける、TOKKINの皆さんの普段の仕事の様子を丁寧に写し取ったドキュメント映像を主役に据えつつ、組織間連携を強調する手段としてトランジションエフェクトを活用し、一体感を演出しました。

また、この映像が、国内外の様々な潜在的事業パートナーと、損得勘定だけでなく、理念的な共感に基づいた関係を築いていくきっかけになってくれるよう、ナレーションには、説明調の事業紹介文ではなく、TOKKINの事業が位置する普遍的文脈や、組織のミッション、大切にしている文化を、ナラティブ(語り)として言葉にしています。

メンバーズボイス

心に届く作品

プロジェクトを通じて我々自身の歩みを振り返り、語り合いました。

金属の無限の可能性を信じ、素材から妥協を許さずにきたこと。
顧客を市場の勝利者にするために、日々挑戦し続けてきたこと。
限界だと諦めかけたとき、振り向けばそこには、かけがえのない仲間がいてくれたこと。
そうやって生み出された製品が人の命を守り、人々の生活を豊かにしてきたこと。

これらが私達の存在意義であり、喜びであり、そして挑戦し続ける理由です。

ロフトワークの黒沼さん、井田さん、EXIT FILM田村さん、西澤さん、ナレーションの高橋さんたち最強のチームが私たちの熱き想いを、秀逸を極めた映像と音楽で表現してくれましたことに感動を覚えました。

手応えを一言でいうならば、“人の心に届く作品”が完成した、それが最大の成果です。

株式会社特殊金属エクセル COO 水谷 徳次郎

TOKKINの皆さんの金属に対する想いや情熱を、情緒的な語りとイメージで表現しました。企画を通して感じたのは、スタッフの皆さんの誇りや、ビジョンへ向かう情熱、探究心の深さです。それらの姿勢や、スタッフ一人一人の主体性、また、立場をこえてシームレスに事業に取り組む様子を伝えられるように、エフェクトやイメージシークエンスを工夫しました。

EXIT FILM  西澤 英樹

70年を越える組織の歩みが記された社史を読み込みながら感じていた特徴のひとつは、「いつ誰が入社したか」、「どんないいところのある人だったか」、「いつ会社を去り、その後はどのように生きたか」についての、親しみ溢れる記述がとても多いこと。特定の役職についた人のみでなく、どんなスタッフにも等しく言及しようとする人懐っこいテキストが紡ぐ、暖かな歴史描写が印象的でした。
伝わって欲しいことは、全て映像に込めたつもりなので、是非、公開された映像をご覧いただければと思います。我々が余計なことをしなくても、TOKKINの皆さんの日々の姿の中に既に宿っているカッコよさと、それを美しく映し撮り、人に伝わる形に組み立てる確かな技と感性を持ったEXIT FILMの皆さんのおかげで完成したこの映像が、TOKKINの今後の歩みを支える一助となってくれる事を願ってやみません。

ロフトワーク クリエイティブ ディレクター 黒沼 雄太

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