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SPCS|Season3 – 不安定をデザインする with Katsunobu Yoshida

SPCSシーズン3のテーマは「色」。グラフィックデザイナーで採集家でもある吉田勝信さんとともに、採集物からインクを創り出す実験を2カ月にわたって実施し、大量生産に適した色として既に開発されている安定的な色とは異なる色を創り出すことを目指します。不安定さを受け入れることで、これからの表現と産業はどのように変わるのでしょうか?

開催日

2023/04/14 (金)

, 04/30 (日)

, 05/26 (金)

, 06/18 (日)

場 所

FabCafe Kyoto / オンライン同時開催MAP

定 員

25名名

参加費

4回通し価格|一般:30,000円、学生:20,000円(先着3枠)

申込多数の場合抽選となる可能性がございます。ご了承ください。

ABOUT

不安定さを受け入れることで、表現と産業は変わるか

インク、クレヨン、ペンキ、染料。私たちはあらゆるものに色を付けます。私たちが普段使うものは、色の再現性が高い大量生産品が多くを占めます。それらには「不安定さ」が許されていません。しかし、色の不安定さを受け入れたとき、私たちの表現はどのように変わるのでしょうか。 また、そうなったときに、より多彩な原料や新たな製造プロセス、生産単位など、製造方法の可能性も広がるのではないでしょうか。

採集物からインクを創る

そこで今回は、採集物からインクを創り出す実験を2カ月にわたって実施します。講師はグラフィックデザイナーの吉田勝信さん。彼はForaged Colorsというプロジェクトで、素材をあらゆる方法で採集し、顔料(色の元となるもの)とメディウム(顔料を定着をさせる糊)を開発することで、色を選ぶのではなく、創ること自体を開こうとしています。なぜなら、大量生産に適した色としてすでに開発されているものとは異なる色を創り出すことができたら、これからのクリエイティブの形が大きく変わる可能性があるから。

インクを作るためには顔料とメディウムが必要です。今回のワークではいずれも制作しますが、特に実験要素の多いメディウムの開発実験に注力し、オリジナルインクの開発に挑戦します。2ヶ月後、20通りの顔料とメディウムが完成し、参加者同士で組み合わせを実験しあっても面白いかもしれません。また、ワークで生まれたレシピはオープンソースとして公開予定です。(20種類の顔料x20種類のメディウム=400通りのインクのレシピができるのでしょうか?)一緒に、世界に向けて、新しい彩色の形を提案しましょう!

キハダという植物は、文字通り木の内側が鮮やかな黄色。写真は吉田さんが色を採集した時の様子。

油性メディウム制作の様子

メディウムの定着テスト

吉田さんは活版印刷から版画まで、印刷方法も多岐にわたって実験している

なお、吉田さんは「Studies」というチームで「新しい開発」を行なっています。京都の染色会社とともに化学薬品を全く使わず土を染めつける流し染めの技術を開発中とのこと。染料に展開できそうな素材が生まれた場合、このプロジェクトに合流する可能性もあるかもしれません。

「Studies」の活動の様子。(photo by Yujiro Ichioka)

 

「Studies」の活動の様子。(photo by Yujiro Ichioka)
「Studies」の活動の様子。(photo by Yujiro Ichioka)

吉田勝信と「Foraged Colors」

今回のプログラムは、グラフィックデザイナーの吉田勝信さんが2020年から6カ年計画で活動している「Foraged Colors」というプロジェクトとのコラボレーションとして実施されます。このプロジェクトの目的は、「海や山から採集した素材で「色」をつくり、現代社会に実装すること   (公式サイトより)」で、「山や海から顔料を採集する技術」、「植物の色素を顔料にする技術」、「細かくする技術」、「エコロジカルなメディウムを作る技術」の開発を進めています。特許取得にも動いており、新たな彩色のあり方に精力的に取り組んでいます。

また、吉田さんは、2023年6月1日~25日にイギリスのサマセットハウスで開催されるLondon Design Biennale 2023 (日本館) Future Rural Japan に出展を予定しています。「Foraged Colors」プロジェクトをアウトプットする場所になるかもしれません。

※ ロンドンデザインビエンナーレ:世界をリードするコンテンポラリーデザインとデザイン主導のイノベーション、クリエイティビティ、リサーチのためのグローバルステージ。2023年のテーマは「リマッピング・コラボレーション」

 

関連リンク

Foraged Colors

肩書きはグラフィックデザイナーだが、デザインデータを作るだけでなく、プリンターとして独自の印刷方法や素材の開発をしてきた吉田さん。幅広い表現方法と国内外を横断するローカリティを匂わせる世界観で、独自のフィールドを築いている。(みちのおくの芸術祭山形ビエンナーレ2016へ出展した際のアートワーク「山姥市の幟」)

独自に箔押しの技術も開発している(日本酒「掌」のパッケージデザイン)

ものづくりのプロセスをデザインするのも吉田さんの得意領域。これは米沢緞通×NewTraditional「うえこみのじゅうたん 」無地の絨毯を職人が作り、それに応答する形で障害がある人が図案を刺してプロダクトを仕上げるというプロジェクト。複製性が柔らかくなり、その人なりの図案の解釈で、同じような、でも、一個一個異なる、緞通を作り出している。

 

自然のアンコントローラビリティをを探究するプログラム

マイクロバイオーム、放射線、ウィルス、細菌。コントロールできない自然の力は、厄介者やエラーと扱われることも多く、多くの排除や操作がおこなわれてきました。しかし、人間が操作できない生物のパワーをいかにポジティブに捉え直し、遊び、クリエイティブに生かす器をデザインできるかが、これからの活動のポイントとなってくるでしょう。

SPCS(スピーシーズ)は、プロトタイピングしながら自然のアンコントローラビリティを探究する活動体です。自身の好奇心や課題感と自然のメカニズムをリンク・身体化させ、価値観や手法をアップデートさせるべく、領域横断の実験を行っています。

活動全体のコンセプト/過去の活動についてはこちら >>
SPCS|スピーシーズ バイオロジカルデザインを探求するコミュニティ

最終展示イメージ。写真は2020年に開催された「ものと人をめぐるフィールドワーク 展覧会『わたしのニュートラ』」の様子)photo by Kohei Shikama

こんな方におすすめ

  • 都市計画やランドスケープデザインにおいて植物との関わり方を模索している方、バイオフィリアデザインに関心のあるデザイナーや建築家、デベロッパー
  • 植物や虫、微生物など、多様な生物との関わりを思索や表現につなげたい研究者やアーティスト
  • 日本や東洋の文化・産業を、循環型社会や生物多様性などいま求められる価値観としてあらためてビジネスに落とし込みたいプランナーやデザイナー
  • 自然や環境と人間の関わり方をクリエイティブな方法で探ることに興味のある方
  • 自然と人間の関係をデザインしている、建築やメーカーの方
  • 自然現象から新たなインスピレーションを得たり、表現手法を開拓したいデザイナー、クリエイター
  • サーキュラーデザインに取り組んでいる企業の企画およびR&D担当の方
  • 生物学やバイオロジカルデザインに興味があるが、探求の仕方や一時情報の収集方法を学びたい方

FabCafe Kyoto

LECTURER

グラフィックデザイナー
吉田 勝信

採集者・デザイナー・プリンター。山形県を拠点にフィールドワークやプロトタイピングを取り入れた制作を行なう。近年の事例に海や山から採集した素材で「色」をつくり、現代社会に実装することを目的とした開発研究「Foraged Colors」や超特殊印刷がある。趣味はキノコの採集および同定。

WEB :
https://www.ysdktnb.com/about

Foraged Colors :
https://foragedcolors.com/

Instagram :
https://www.instagram.com/yoshida.katsunobu/

Twitter :
https://twitter.com/ysdktnb

Portrate photography by Ryohei Sawaki

PROGRAM

Day1|レクチャー 4月14日(金)18:00-21:00 @オンライン
  1. イントロダクション
  2. インクについてのレクチャー
    ・顔料を学ぶ
    ・メディウムを学ぶ
    ・版画/印刷の基礎手法を学ぶ
  • 宿題
    • 顔料とメディウムになりそうな素材の採集
Day2|試作 4月30日(日)14:00-17:00 @FabCafe Kyoto
  1. アイスブレイク|素材をひたすら砕く
  2. 採集した素材でメディウムをつくる
  3. 試し刷り
  • 宿題
    • 試作プロセスのドキュメンテーション
      • 仮説、検証、課題
      • 試行錯誤したデータ、レシピの記録
    • 素材の採集と検証
Day3|フィードバック 5月26日(金)19:00-21:00 @オンライン
  1. 作成したメディウムと顔料、試し刷りの結果を共有
  2. フィードバックとナレッジシェア
  3. アウトプット(印刷/版画方法)についてのアドバイス
  • 宿題
    • フィードバックを踏まえた再試作
    • 試作プロセスのドキュメンテーション
      • 仮説、検証、課題
      • 試行錯誤したデータ、レシピの記録
Day4|作品発表 6月18日(日)14:00-17:00 @FabCafe Kyoto
  1. 版作り(時間外、Optional)
  2. 最終作品を刷る(FabCafeで作品展示予定)
  3. 交流会

OUTLINE

開催日(全4回) 

4月14日(金)18:00-21:00
4月30日(日)14:00-17:00
5月26日(金)19:00-21:00
6月18日(日)14:00-17:00

定員

25名

参加費(全4回通し価格)

一般:30,000円
学生:20,000円(先着3枠)

会場

Day1,3:オンライン
Day2,4:FabCafe Kyoto(京都府京都市下京区本塩竈町554)

主催

FabCafe Kyoto / 株式会社ロフトワーク

ご注意
  • 申込多数の場合、抽選となる可能性がございます。ご了承ください。
  • 参加者の皆さんの写真やプログラムの内容は後日loftwork.com/FabCafe Kyotoのウェブサイトに掲載する場合があります
  • プログラムは、予告なく変更される場合があります。
  • コミュニケーションツールはDiscordでおこないます(事前準備は不要です)

申込多数の場合抽選となる可能性がございます。ご了承ください。