KYOTO

TALK EVENT
イベント終了

トーク:あなたは「無」を買いますか? #2 数字でわかるもの、わからないもの – アナログな身体感覚とその精度

ウェルビーイングに「感性と身体性」からアプローチするためのヒントを得られるトークシリーズ、第2回。主観的な身体感覚にやどる創造性とはいかなるものなのでしょうか?認知科学や身体論、哲学を専門とする研究者たちとともに考えます。(共催:関西大学「身体性とウェルビーイング」研究チーム KEWRT、株式会社ロフトワーク、FabCafe Kyoto)

開催日

2023/07/28 (金)

時 間

19:00–21:00

場 所

FabCafe Kyoto (MTRL KYOTO)MAP

定 員

40名(予約優先)名

参加費

1,000円(1ドリンク付)

「受付中」ボタンをクリックすると申込フォームへ移動します。

ABOUT

イベント主旨

ウェルビーイングに「感性と身体性」からアプローチするためのヒントを得られる全4回のトークシリーズ、第2回。

心理学や哲学、認知科学などを専門とする関西大学の研究者のワーキンググループ「身体性とウェルビーイング」研究チーム KEWRTとともに、多様性やメンタルヘルス、体験価値、AIと創造性などさまざまなトピックと私たちの「生きやすさ」「ゆたかさ」の関係性を読み解きます。

「よくわからないけど、なんかいい(はず)」という結論になりがちな体験価値やウェルネスについて、その意味や効果を言語化・指標化することを試みる機会。ぜひ、みなさんの具体的な課題を持ち寄ってご参加ください。

#2 テーマ : 「数字でわかるもの、わからないもの – アナログな身体感覚とその精度」

生成型AI の急速な発展と普及が日々ニュースとして取り沙汰される2023年。業務生産性の向上の視点からは大きな期待が寄せられる一方で、「人間の仕事が機械に奪われる」「真実と区別のつかない偽物(フェイク)が溢れかえってしまう」などの懸念も耳にします。これらの課題を乗り越える、「人間にしかできないこと」とは果たして何なのでしょうか?

また、「客観性を示せ」「エビデンスを示せ」という常套句にも現れるように、ビジネスや研究の場においては「すべては測ることができる」という考え方が大前提になっているケースが多くあります。ですが、まだ前例のないイノベーションや、100年〜1000年の単位で長期にわたって持続するシステム、または「個人としての幸福感」といった主観に基づく価値判断についても、本当に「すべては測ることができる」のでしょうか?

今回のトークテーマは、「数字でわかるもの、わからないもの – アナログな身体感覚とその精度」

「Sensing(センシング)」という言葉があります。テクノロジーやマーケティングの領域では、センシングとは「周囲の環境や市場を情報化し、定量的な方法で処理・認識する」こととして扱われますが、本来的には「感知する」という意味をもっており、これは人間が主観的・即時的に世界を理解する感覚体験を表すものでもあります。同じ言葉を使っていても、技術・ビジネスにおける「センシング」と、人間の感知能力、感覚体験には何か大きな差異が潜んでいるようにも見えます。

この人間の感覚体験は、デジタルテクノロジーの高度化が進む中でも、現時点では完全に再現することはまだ難しいとされています。では、人間にしか「センシング」できないことは何なのか? 数字にできない、測れないことを捉え、またそれを他者と共有する……そのヒントを読み解くキーワードが「身体性」。「どう計測するか?」を考える前に、まずは「そもそもすべてを計測することなんてできるのだろうか?」と疑ってみる。そこからあらためて身体性のもつ可能性に目を向けてみましょう。

Keyweord

#AIと人間 #数字にできない #アナログな身体 #腑に落ちる #言い当てる #ものさしで測れないもの #「無」のなかに「有」を見出す技法 #身体文化の継承 #ファスト社会

メインスピーカーは、芸術と感性について認知の仕組みと脳のはたらきを研究する石津智大教授(関西大学文学部)と、「腑に落ちる」学び、人格形成としての学びを研究する小室弘毅准教授(関西大学人間健康学部)。ゲストには、文筆家の土門 蘭さんをお招きし、「ことば」の視点も交えながら、 「アナログな身体」を入口に、数字でわからないことの捉え方・向き合い方について考えます。

こんな人におすすめ

  • AIやロボティクスでの代替や模倣ができない「独自価値」のある事業やブランドをつくりたい、マーケティング担当者や事業開発者
  • まだなかった感覚や抽象的な概念に対して「共通する感覚」を言い当てることができる、言葉を扱うプロフェッショナル(詩人、作家、編集者、コピーライターなど)
  • 従来の生産効率を元にした評価軸では難しい「多様性やインクルージョンを考慮した組織づくり」を模索している、人事担当者やコーポレートエンジニアリング担当者
  • ユーザーエクスペリエンスや製品デザインにおいて感覚や直感を重視する、UXデザイナーやプロダクトマネージャー
  • テクノロジーやAIの進化に対して、倫理的な社会やビジネスへの影響を考慮する、CSR担当者、イノベーションリーダー、ビジネスストラテジスト
  • その他、「測れない」ことのなかにある可能性にあらためて向き合う必要を感じているすべての方

タイムテーブル(予定)

19:00-19:10 開会、主旨説明
19:10-19:40 スピーカー自己紹介・活動紹介(10分 x 3)
19:40-20:10 クロストーク
20:10-21:00 交流、個別質問

お問合せ先

本イベントに関わるお問い合わせは、下記までメールにてお願いいたします。

株式会社ロフトワーク / FabCafe Kyoto イベント運営事務局(担当:木下)
kyoto.marketing@loftwork.com

SPEAKERS

スピーカー

関西大学 文学部 心理学専修 教授
石津 智大

「神経美学」が専門。実験心理学・脳機能測定法と美学芸術学的理論を組み合わせ、芸術と感性について認知の仕組みと脳のはたらきを研究している。現在は、崇高畏怖や悲哀美が現代社会を生き抜く力や幸福感に寄与することを実験で調べている。基礎研究とともに、感性科学の研究成果を社会的課題の解決へつなげる活動にも取り組んでいる。例えば、老人ホームを崇高化するプロジェクトなどを進めている。クライミングが好き(ボルダリングもロープクライミングも)。左肩を脱臼したときに片腕で登っていたら、右肩も脱臼したことがある。
・ラボHP: https://wps.itc.kansai-u.ac.jp/pan-lab/
・リサーチマップ: https://researchmap.jp/tishizu

関西大学 人間健康学部 人間健康学科 准教授
小室 弘毅

教育学、身体論が専門。近代日本における人格形成としての「教養」概念の研究から、近代教育における身体性の問題に関心を持ち、「腑に落ちる」学び、人格形成としての学びについて研究している。具体的には、瞑想、ヨーガをはじめ、さまざまな東西の身体技法を自ら体験し、それらを教育学的に展開し、新たな教育方法に結び付ける努力を続けている。近年は人文学的見地からマインドフルネスの研究と実践を行い、その教育への応用可能性を探っている。2023年3月31日にNHK総合で放送された「あいつ、マインドフルネスはじめるってよ」の製作に協力し出演もしている。また現代芸術家荒川修作の研究プロジェクトにも参加し、身体と建築・アート・ファッションといったテーマでも研究を行っている。山岡信貴監督作品の映画「アートなんかいらない!」にも出演。インストラクター資格を持つヨーガと素潜りが趣味で、毎年夏には野生のイルカと泳いでいる。

関西大学 文学部 総合人文学科 哲学倫理学専修 教授
三村 尚彦

専門は現代哲学、現象学。最近の研究テーマは、言葉にうまくできないけれど身体で漠然と感じている感覚がもつ創造性および現代美術家荒川修作+マドリン・ギンズの「建築する身体」という概念。雑談好きで、大学の講義では果てしなく話が拡散していく。

ゲストスピーカー

文筆家
土門 蘭

1985年広島県生まれ。小説・短歌などの文芸作品や、インタビュー記事の執筆を行う。著書に歌画集『100年後あなたもわたしもいない日に』(寺田マユミ氏との共著)、インタビュー集『経営者の孤独。』、小説『戦争と五人の女』、エッセイ『そもそも交換日記』(桜林直子氏との共著)がある。2023年4月には、2年間の自身のカウンセリングの記録を綴った『死ぬまで生きる日記』を上梓。

海女 / フォトグラファー
大野 愛子

東京都出身。大学の海洋学部を卒業後に寿司チェーン店で働くも、その後専門学校での学びを経てフォトグラファーとして活動を始める。元々の海好きが高じて三重県鳥羽市の地域おこし協力隊に応募し、見習い海女として海女漁に従事。任期を終えてからも石鏡町に拠点を置き、海女兼フォトグラファーとして生活しながら伝統的な海女の暮らしや海のある風景を発信している。

モデレーター

株式会社ロフトワーク FabCafe Kyoto ブランドマネージャー
木下 浩佑

京都府立大学福祉社会学部福祉社会学科卒業後、カフェ「neutron」およびアートギャラリー「neutron tokyo」のマネージャー職、廃校活用施設「IID 世田谷ものづくり学校」の企画職を経て、2015年ロフトワーク入社。素材を起点にものづくり企業の共創とイノベーションを支援する「MTRL(マテリアル)」と、テクノロジーとクリエイションをキーワードにクリエイター・研究者・企業など多様な人々が集うコミュニティハブ「FabCafe Kyoto」に立ち上げから参画。ワークショップ運営やトークのモデレーション、展示企画のプロデュースなどを通じて「化学反応が起きる場づくり」「異分野の物事を接続させるコンテクスト設計」を実践中。社会福祉士。2023年、京都精華大学メディア表現学部 非常勤講師に就任。

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関西大学「身体性とウェルビーイング」研究チーム KEWRTとは

2017年4月、身体性、身体と環境の相互作用、ウェルビーイング(こころと身体の健康)に関する学際的研究を目的に、哲学、心理学、宗教学、教育学、認知科学、メディア論の研究者らによって発足した関西大学の研究チーム。これまでに建築、コンテンポラリーダンス、脳神経科学、里山活動、現代アートなど多様な領域の実践者、研究者とコラボレーションしながら研究活動を展開している。

■ 参加メンバーはこちらをご覧ください。 >>> https://fabcafe.com/jp/labs/kyoto/KEWRT/

カバー画像(メインビジュアル)について

本イベントシリーズのメインビジュアルでは、陶芸家/美術家の かのうたかお さんの作品「壺中天アリ」をフィーチャーしています。「うつわ」とは、形(からだ)をもつ外側のことを指すのか、それとも内側の空間のことなのか?一見すると「無」でしかないものごとに惹かれ、そこに価値を見出す態度や行為こそ、人間の創造性の根源をなすものなのかもしれません。

■ かのうたかお website : https://takaokano.com/
(撮影協力:白白庵)

注意事項(あらかじめご承知のうえお申し込みください。)

・会場の様子は写真や動画等で記録され、主催者によるレポート記事やSNS等で公開されることを予定しています。あらかじめご了承のうえお申込みください。
・マスク着用は必須ではありません。登壇者もマスクなしの場合があります。

OUTLINE

開催日 2023/07/28(金) 19:00–21:00
場 所 FabCafe Kyoto (MTRL KYOTO)
京都府京都市下京区本塩竈町554

▼電車でのアクセス
JR京都駅から徒歩20分
京都市営地下鉄烏丸線五条駅から徒歩10分
阪急電鉄京都線河原町駅から徒歩15分
京阪電鉄清水五条駅から徒歩5分

▼バスでのアクセス
京都駅から4・17・205号系統 五条河原町下車徒歩3分
※駐車場はありません。近隣の施設をご利用ください。
参加費 1,000円(1ドリンク付)
定 員 40名(予約優先)名

「受付中」ボタンをクリックすると申込フォームへ移動します。