Column

2016.3.2

粗く織る、川で撚る…!3チームの実験をみんなで共有する中間報告会 – YOSANO OPEN TEXTILE PROJECT

FabCafe Kyoto編集部

Kyoto

異業種のクリエイターたちが与謝野町を訪れ、若手の織物職人とコラボレーションしながら、丹後ちりめんをはじめとする与謝野の「織り」の技術についてリサーチとプロトタイピング行う YOSANO OPEN TEXTILE PROJECT

この日2/27は 先月のアイデアソンを経た織物職人とクリエイターの混成チームが、Facebookや電話・メールなどの遠隔のコミュニケーションで進めてきた実験活動結果を持ち寄り中間報告会を行いました。

オンラインで盛り上がる実験と検証

2月は各チームで、実験結果をSNSで共有。オンラインながら、まずは「小さくても手を動かしてみる」ことで、コミュニケーションが生まれ、どのチームも楽しそうでした。

こちらが各チームの実験結果をまとめているブログです。
http://yosano-otp.tumblr.com/

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織物職人とクリエイターの混成チームは3つ。

イ)レギュラー班

既存の工程をイレギュラーに崩し、逆にレギュラーに転換させられないか?という問いをもとに、実験しまくる「 イ)レギュラー班」。主要メンバーは織物職人の高岡さん、整経職を生業とされる今井さん、地域おこし協力隊の原田さん、プロダクトデザイナーの吉行さんです。
実験過程の記録はこちら

パターン班

温度や時間、サイズの変化などをこまめに記録しながら、織組織のパターンを検証していく「パターン班」。主要メンバーは織物職人の羽賀さんと今井さん、デザインリサーチャーの浅野さんです。
実験過程の記録はこちら

デジタルと織班

3Dプリントや Processing(デザインのためのプログラミング言語)など、織の技術を組み合わせる「デジタルと織班」。蚕さんを飼って色々と実験もされていく模様。主要メンバーは織物職人の由里さんと堀井さん、 ファブディレクターの高松さん、デザイナーのコナーです。
実験過程の記録はこちら

実験結果を持ち寄って、みんなで共有!

中間報告会の様子をまずは一気に映像でご覧ください!

https://youtu.be/Tt-fYbl8ZKE
ここからは先はフォトレポート形式でお送りします。

まず、冒頭でディレクターの水野大二郎さんから本日の趣旨を紹介。

  • チームごとに行ってきた実験と見出された解釈(方向性)を全員に共有する
  • フィードバックを受けて、各チームで方向性をブラッシュアップしていく
  • 3月末までの具体的なゴールを見定め、(複数の)プロトタイプづくりの計画を立てていく

「3月末はひとつの通過点。無理矢理「落としこむ」のではなく、未来を見据えて「飛躍させる」議論をすることが重要、という前提を確認した後、中間報告会がスタート!

最初に、各チームが持ち寄った実験結果についての発表です。

トップバッターはパターン班。

デザインリサーチャー浅野さんより、これまで行ってきた防縮・精錬実験の結果が発表されました。

生機の中にキャップやスタイロを入れて精錬すると形状がどう記憶されるか。

織物職人の羽賀さんは粗織りしてスリップしまくる生地の実験結果をシェアしました。

続いてデジタルと織班。

クリエイター高松さんはジャガードのコアとなる機構部分を3Dプリントで再現。

また蚕を実際に22匹飼い(!)、繭をハックする試みをテストするそう。

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最後にイ)レギュラー班。

織物職人の高岡さんは、結び目を入れた糸で織ってみる。

原田さんは、角材に糸を巻きつけ川の流れで撚ってみる。

原田さんが持ってきた裂織りの糸巻を見て「”包む”という意味では”風呂敷”と捉えられるよね!」と興奮する水野さん。

フィードバックを踏まえたチームディスカッション

ひととおり発表が終わった後はチームメンバーでじっくり議論。試作を進めるための次のアクションと担当を決めていきます。

持ってきた実験物をルーペで拡大したり。

先ほど発表できなかった小さな気付きを共有したり。

持ち寄った素材はさまざま。

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派生したアイデアと職人さんの技術とを組み合わせられないか模索したり。

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会場に来れなかった今井さんはSkypeで議論に参加。

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堀井さん、由里さんの織物職人同士でも議論。

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徐々にチームごとにスケッチを描いていきます。

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こんなカタチもありかも!?と話が弾みます。楽しそう!

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これからのアクションプランを週ごとにざっくりまとめていきます。

チームごとにスケッチとアクションを発表!

プロジェクトのゴールとなる3月末に向けて試作のアウトプットイメージを全員で共有します。重要なのは飛躍。コンセプトを軸に職人さんとクリエイターさんで実験していく中で形が変わることもあるかもしれません。それもまたよし。

パターン班

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パターン班は粗密な組織を利用したプロトタイプを、精錬・防縮実験、カタチを考え、発展させるという順番で制作を進めます。

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《パターン班のアイデアスケッチ》
●靴のインソール
●照明のランプシェード
●ワンピースのような服的な何か

デジタルと織班

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音を基軸に、音から作った紋様の織物、そこから音を拾う装置のプロトタイプを、基本装置の作成、読み取り実験、実験をカタチに落としこむ、という手順で制作を進めます。

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《デジタルと織班のアイデアスケッチ》
●絹織物のレコード
●音を拾う装置

イ)レギュラー班

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不均一な糸をもとに、チーム全員で工程を分担して織物のプロトタイプを実験します。アクションシートは白紙(笑)でしたが、明確に分担は決まっている模様。

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《イ)レギュラー班のアイデアスケッチ》
●縦糸を整え、玉結びして織る
●縦糸を整えて織る
●ボンドの不均一な糸で織る

次回はプロトタイピングの大詰めとMTRL KYOTOでの展示!

ここからはいよいよ、3月下旬のゴールに向けて各チームがプロトタイピングを加速させていきます。

YOTP+PHOTO

ここでひとつお知らせです。

京都市下京区のクリエイティブラウンジ MTRL KYOTO で3/8頃から今回の中間報告会で持ち寄った実験の現物を展示いたします。与謝野町の職人さんから預かった織機の機構や布切れなどを配置する予定です。

それでは次回のレポートもお楽しみに!

YOSANO OPEN TEXTILE PROJECT

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  • FabCafe Kyoto編集部

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