Column

2016.11.30

「手に取るメディア」としての、イラストマップの魅力をあらためて考える。『地図カフェ vol.2』レポート

FabCafe Kyoto編集部

MTRL KYOTOより
本記事は、2016年9月25日にMTRL KYOTOで実施されたイベント「地図カフェ @MTRL KYOTO vol.2」のレポートです。この「地図カフェ」は、地図にスマートフォンのGPS現在地情報などを連動させるサービスを行う ちずぶらり・フリーペーパー専門の本屋 只本屋・MTRL KYOTOによる共催企画。今回のレポートは只本屋の山田毅さんが手がけました。

また、レポート内では、当日イベントと並行して行われた「4人のクリエイターが考えた”エクストリーム地図”」ワークショップの完成作品も初公開しています。各作品は、実際に「ちずぶらり」の技術を用いて、GPSと連動した「地図」として見て/使うことができます。
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[ちずぶらり でできること]
・PCやスマートホン、タブレットのブラウザ上で、地図を拡大縮小して見ることができます。
・現地に行くと、地図上に現在地が表示されます。
・WEBマップと連動し、画面上でイラストマップと切り替えることができます。
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作品画像にリンクとQRコードを添えていますので、ぜひ体験してみてください。

みなさん、こんにちは。京都の清水五条でフリーペーパーの専門店 只本屋をやっている山田といいます。今回は、2016年9月25日に只本屋と地図のアプリ開発を行っているちずぶらり、そしてMTRL KYOTOで行っている「地図カフェ」のvol.2が開催されたので、レポートしたいと思います。

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▲地図カフェの様子。当日の写真は、MTRL KYOTO 公式Flickrでも公開しています。

そもそも「地図カフェ」とは

日常いろいろな場面で目にする、あるいは手にする、さまざまな地図。生活や仕事のなかであたりまえのようにツールとして使われている地図ですが、見方を変えれば、世界と積極的に関わるためにこの上なく有効で、そして楽しいメディアともいえます。

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▲デザイナー三重野龍さんにデザインしていただいた地図カフェロゴ

「地図カフェ」は、コーヒー片手に、そんな地図の楽しみ方を広げる場として、フリーペーパーから古地図まで、さまざま地図を用意し、地図について考えるトークイベントなど、様々なコンテンツを用意したカフェです。このちずぶらりは、地図のアプリ開発を行っているちずぶらりとフリーペーパーの専門店只本屋が、MTRL KYOTOの計らいで出逢ったことから始まりました。

地図カフェには、ちずぶらりと只本屋があつめた地図やガイドマップがたくさん置かれています。お客さんは地図を見たり、カフェでお茶を楽しんだりしながらゆったりとした時間を過ごしています。そもそも地図に興味がある、つくっているという人から、通りすがりでやってきた方までお客さんの層は様々です。

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▲会場のMTRL KYOTOでは美味しい珈琲を飲むことができます。

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▲当日はたくさんの方が思い思いに地図を楽しんでいました。

Program 1:トークセッション「イラストマップのつくり方・頼み方」

今回のvol.2では、vol.1を考慮して、よりつくり手の目線にたってコンテンツを用意するということで、日頃地図を数多く手がけられているタケムラナオヤタケムラデザインアンドプランニング)さんをゲストに迎え、トークセッション「イラストマップのつくり方・頼み方」を開催しました。スピーカーはタケムラナオヤさん、そしてちずぶらりの高橋徹さんと只本屋の山田毅です。

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▲イラストマップを説明するタケムラさん(写真右から2人目)

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▲会場にはたくさんの方に来ていただきました。

タケムラさんの製作されたイラストマップを拝見しながら、・地図サービスを運営する人(=企画する人)・地図をデザインする・描く人(=制作する人)・地図をお客さんに届ける人(=流通させる人)…それぞれの目線からディスカッションが行われました。「イラストマップをつくるときに大変なこと」「デザイナーへの注文のしかた」など、実際のマップ制作の場面でのリアルな “あるある” を通して、手にとって使ってもらえるマップはどのようにして生まれるのかを明らかにしていきました。

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▲高知駅、高知空港、安芸駅、中村駅などに設置された観光案内看板。地図部分のイラストはタケムラデザインで描き、人物は村岡マサヒロさんに依頼して制作。普段よく目にする地図とか異なる方向から描かれた高知県の地図。

数多くの事例を見せていただき、また来場者と地図に関する意見交換をすることで、地図の新しい一面に触れることができたように思います。

Program 2:公開プレゼンテーション:「4人のクリエイターが考えた“エクストリーム地図”」

そして今回もうひとつ用意したコンテンツが、“実際にクリエイターにマップを製作していただこう”というものでした。既存の地図に縛られること無く、自由な発想で作成された地図を「エクストリームマップ」と名付けて、4人のクリエイターに「エクストリームな地図」を考えるワークショップを実施。今回は「自分の好きな場所」をテーマに誰かのためにマップを作成していただきました。

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▲MTRL KYOTO2階にて制作中のクリエイター

参加していただいたのは、中西晶子さん、horiさん、MIKIさん、もりゆかさんの4名。みなさん、日頃から独自の世界観で作品を発表されているクリエイターです。

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▲日本画出身のもりさんは、和紙に筆で下絵を描いていきます。

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▲horiさんは持参したパネルを2枚横並びにして描きはじめました。

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▲手書き調の中西さんは実はすべてペンタブで描いていることがわかりました。

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▲MIKIさんは手書きで書いたイラストをパソコン上で彩色するという手法でイラスト作成をしています。

この日は朝からMTRL KYOTOの2階を使用して、マップ製作に取り組んでいただきました。それぞれが考えてきたアイデアが、それぞれの手法、技法の違いで描かれていく姿はとても面白く、このようにつくっているんだと関心してしまいました。

夕方には、それぞれの作家が考えたマップについてのプレゼンテーションがありました。

もりゆかさんのマップは、自分の地元である滋賀から京都の出町柳を繋ぐマップで、自分が好きなお店を、もりさんのイラストによく登場するウサギのキャラクタ一が紹介してくれます。いくつかの鉄道を乗り継ぐことや、比叡山や琵琶湖など名所などの書き込みもあり、和紙の風合いのよくあったマップを制作していただきました。

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▲もりゆかさんのプレゼンテーションの様子

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▲もりゆかさんが制作したマップ「鉄道女子のスイーツ旅 坂本~出町柳」
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堀としかずさんが制作したのは、自身が現在住んでいるという大正駅の商店街を巻物のような長いイラストで表現していただきました。大正の町に堀さんのキャラクターやイメージが重なって、堀さんらしい世界観のマップとなりました。プレゼンテーションの中でもストリートマップで、実際にあるお店が確認してみたりと、イラストマップの面白みを体験することができました。

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▲horiさんのプレゼンテーションの様子

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▲horiさんが制作したマップ「大正絵巻マップ(大正駅〜サンクスまで)」
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中西晶子さんが制作したマップは、自身が毎月発行しているフリーペーパー「めいが通信」の体験を元に、クリエイターがフリーペーパー作成した際に、どのような場所に持っていったら良いかということをマップ化したものです。京都のお店を星3つで判定しており、フリーペーパー製作者にはありがたいマップとなりました。

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▲中西晶子さんのプレゼンテーションの様子

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▲中西晶子さんが作成したマップ「フリーペーパーくばりマップ」
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MIKIさんが作成したマップは、作家にゆかりのある出雲の町を舞台にしたマップです。手のしわをマップの線に見立てたり、指のカタチを山々に見立てたりとMIKIさんらしい表現となりました。手書きのイラストをコンピューターに取り込み、そこからコンピュターで彩色していくという独自の手法で制作されています。そういったクリエイターそれぞれの手法の違いも是非見ていただきたい。

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▲MIKIさんのプレゼンテーションの様子

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▲MIKIさんが作成したマップ「出雲大社周辺マップ」
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プレゼンテーションのあとは、クリエイターをまじえて、地図好きの人々の話はつきない模様。閉店時間ギリギリまで、多くの方が交流を楽しんでいました。

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▲クリエイターのマップを目の前に話が弾む参加者

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今回作成されたマップは、MTRL KYOTO、只本屋を中心に配布していく予定です。vol.3(2017年1月開催予定)では実際に手に取れるようにご用意しますので、是非見に来てください。

(text : 只本屋 山田毅)

山田 毅 (只本屋)


只本屋

只本屋は、月に一度だけ開くフリーペーパーのお店です。
毎月末の土日にだけ清水寺のお膝元・東山五条にオープンしています。
全国各地の魅力溢れるフリーペーパーを取り揃えています。
少ない営業日ながらただの本屋としてだけではなくフリーペーパー製作者やクリエイティブな人ともつながれるなど、カルチャースペースとしても注目されている新しい本屋です。
http://tadahon-ya.com/

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