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あなたなりの嗅覚をデザインせよ!「嗅覚デザインラボvol.1」キックオフ!

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「嗅覚デザイン」についての可能性を探求するワークグループである「嗅覚デザインラボ」
第一回目となるテーマは「Synthesize the Smell of Rose! 」ローズを使わずにローズの香りをつくる、をテーマに香りのデザインの世界を考えました。
二部制での開催でしたが、おかげさまで満員御礼。
性別や年齢、プロアマを問わず賑わいを見せたワークショップ当日の様子をFabCafe MTRLの田中がレポートいたします。

嗅覚デザインラボ vol.1:
Synthesize the Smell of Rose! プログラム

  1. レクチャー&プレゼンテーション (30min)
    ・香りのデザインについて
    ・嗅覚の最新トレンドと可能性
    ・Maki UEDAさんによる実践
  2. グループワーク「ローズ」のコンポジション(60min)
    ・ローズのガスクロマトグラフィー分析(香りのデータ分析)
    ・ローズの主な成分10種を嗅ぎ分ける
    ・「オリジナルなローズの香り」作り
  3. 多種多様な「ローズ」を嗅ぐ(30min)
    ・参加者の方が作成したローズの香りを嗅ぎ合います
  4. Q&A、ネットワーキング(60min)

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1. レクチャー&プレゼンテーション (30min)

まずはじめに、FabCafe MTRLのプロデューサーで本企画の発起人である小原より本企画の目的をシェア。

私たちの五感にはご存知の通り「視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚」がありますが、感覚を、デザインや技術的に再現する時に、「視覚」がもっとも再現しやすく、続いて「聴覚」「触覚」「嗅覚」「味覚」の順で難しくなっていくと言われています。
技術的にも、科学的にも解明の進んでいる「視覚」を基準とした場合に、「嗅覚」は平均して1/5以下の解明具合となっています。

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そんな、体験のデザインの未踏領域である「嗅覚」に切り込むべく、多くの企業で、研究開発や商品開発が進んでいます。
例えば、「音楽」「フィルム」「テクノロジー」で世界最大規模の祭典、SXSW2018ではPanasonicが「音楽×嗅覚」を体験できるデモシステムを発表しました。

参考
Panasonicが新しく挑戦する「香り」の世界(http://gccatapult.panasonic.com/stories/story04.php

また、香水などの香料としてではなく、目的に合わせた香りをカスタマイズできる手のひらサイズのパーソナルアロマディフューザー「AROMASTIC(アロマスティック)」なども注目を集めています。
そんな少しずつ注目を集め始めている「嗅覚デザイン」ですが、まだまだデザインや表現の価値づけ、その可能性をディスカッションする場は多くありません。そんなまだ見ぬデザイン/表現の可能性を夢見て、いかにして「嗅覚のデザイン」は可能か、そんな可能性を探求できるコミュニティとして嗅覚デザインラボを開始したのだという事でした。

そんな目的をみなさんと確認したあと「嗅覚アート」のリーディング・アーティスト、上田麻希さんをお招きし、これまでの活動を紹介していただきました。

Makiさんは15年以上も前から日本では馴染みの薄い「嗅覚アート」を世界でも認知度が低い時期から取り組み始めていました。いまではオランダの美術大学に設置された嗅覚コースの講師を務めたり、様々な嗅覚デザインのインスタレーション、作品制作を手がけていらっしゃいます。今回は、Makiさんがデザインしたオランダでの講義の一部を再現して、ワークショップとして開催となりました。それでは、次からは具体的な香りのデザインについて、そのプロセスを見ていきましょう。

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2.グループワーク「ローズ」のコンポジション

  • ローズのガスクロマトグラフィー分析(香りのデータ分析)
    まず取り組んだのは、天然のローズの香料の嗅ぎ分けから。「Rose oil Turkish」「Rose absolute」という2種類の香りを嗅ぎます。ひとえにローズと言っても、だいぶ印象が異なります。好き/嫌い、爽やか/甘いなど、各々が感じた香りの印象をチームごとに共有します。

    20180511_OLFACTORY-DESIGN-LAB_01_report_05香料をつけた紙(=ヌエット)を持ち、鼻の中で乱気流を起こしながら吸うのがポイント

  • ローズの主な成分10種を嗅ぎ分ける
    続けてローズの香水を調香する際に用いられる代表的な合成香料10種類をひとつずつ嗅ぎ、特徴をメモしていきます。
    同じ香料でも嗅ぐ人によって感想は様々。「この匂いは苦手」と言う人もいれば「3Dプリンターを掃除した後の匂いで落ち着く」という人も。なるほど、匂いは記憶にも紐づくんですね。

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  • 「オリジナルなローズの香り」のデザイン
    一通り香りを体験したところで、ローズの香り作りへ。10種類の香料が合計1000の数値になるよう、10種の香りを自由に調香していきます。どの香りをどの割合で調香するか、みなさんのアイデアの見せ所となります。

    どんなコンセプトの匂いを目指し、それにはどの香りが必要なのかをチームで話し合います。「スモーキーにしたい」と思っても、人によって言葉や匂いの捉え方が違うこともしばしば。香りのイメージを伝えるってなかなか難しい。

    絵の具で色を作る時とは違い、香料を混ぜた時にどんな香りが生まれるのかは予想がつきにくいですよね。各チームのみなさん、ムエットを組み合わせることで香りの重なり方を想像したり、試行錯誤しながらチームごとのローズの香りをつくっていきます。

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    Makiさん曰く、分量ははほんの少しの違いでも香りはがらっと変わるそう。

    他の香料とのバランスを考えながら分量を考えます。分量を決めたら、Makiさんにチームで作成した香りの処方内容をシェア。チームで目指す香りを伝え、「これを足すと水々しくなるよ」などのアドバイスをもらいます。
    修正するもよし、はじめに決めた香りにチャレンジするもよし。

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    いよいよ、香料を容器に入れていきます。
    一つの容器に香料を足していくため、失敗しても引き算はできません。

    一滴一滴、緊張感をもってピペットで足していきます。

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    ピペット係、香料を用意する係など、ここまでくればみなさんチームワークもばっちりです。

    香りを一緒に嗅ぎ合うことで、不思議と一体感が生まれます。この空間に漂う良い香りをお伝えできないのが残念です。全ての香料を入れたら容器を軽く振り、液体をなじませて、完成!

    20180511_OLFACTORY-DESIGN-LAB_01_report_10こちらのチームは「Summer Rose」という名前がついており、爽やかなローズの香りに仕上がっていました。

多種多様な「ローズ」を嗅ぐ(30min)

最後は、完成したローズをチーム別で嗅ぎ合います。
狙い通りに行ったチームもあれば、狙いとは外れたけれどこれはこれでいい匂い、なんてチームも。
とはいえ各々のローズにすっかり愛着が湧いてしまい、他チームにお披露目するのもドキドキ。

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「植物園にいて遠くに薔薇がある感じ」「花束みたい」などなど印象を共有していくと、なるほどそんな感じ方、言葉の表現の仕方があったのかと感心します。
また、処方を確認することでより詳しく分析することが出来るようになりました。「なるほどフェニルエチルアルコールが多めなのか〜」なんて、ワークショップに参加するまでは出来なかった分析の仕方ですよね。

「香りは概念なんです」と語るMakiさん。
もちろん、今回つくったローズの香りにも正解はありません。

今回つくったローズの香りはオードトワレとして使えるそう。
私はもったいなくてまだ使えていませんが、可愛くてしょうがないので持ち歩いています。

そもそもローズってどんな香りだったっけ?なんて問いから始まり、同じ香りでも人によって印象が違っていたり、思い出に紐づいていたり、様々な発見があったワークショップでした。

香りの楽しさを実感したからか、ワークショップの後、香りを鼻が意識して拾うようになった気がします。嗅覚デザインラボ(OLFACTORY DESIGN LAB)は今後も続くプロジェクトですので、ぜひ参加してみて下さいね。下記のリンクでは、FabCafeのメンバーであるケルシーが別視点で、英語のレポートを執筆してくれました。ぜひこちらもご覧ください。

「Olfaction Design Lab, Vol 1: Synthesize the Smell of Rose 」FabCafe Global
https://fabcafe.com/blog/olfactiondesignlabvol1

 

嗅覚デザインラボ(OLFACTORY DESIGN LAB)

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「嗅覚デザインラボ」は、ロフトワーク / FabCafe MTRLと上田麻希のコラボレーションで生まれた嗅覚のための実験場です。新しいコミュニケーション・ツールとしての「嗅覚」をデザインするプロジェクトで、隔月ペースでの開催を予定しており、次回は7月開催予定です。お楽しみに!