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2018.5.17

学生バイオテックチーム『CreativeCells Kyoto』がMTRL KYOTOで活動中

FabCafe Kyoto編集部

Kyoto

MTRL KYOTOでは、インディペンデントなクリエイターたちの作品販売や展示、研究者のオープンラボ、素材メーカーのハンズオンなどのために、実験と実践の場としてスペースを提供する試みを行なっています。

MTRL TOKYO(FabCafe MTRL)では、2017年に開設したバイオラボ[BioClub](2017年度グッドデザイン賞を受賞)で既にバイオテクノロジー・バイオアートに関わるオープンなコミュニティの活発な取り組みが展開されていますが、京都でも、2018年春から、「培養肉」でバイオベンチャーとしての起業を志す大学生のチーム『CreativeCells Kyoto』が、MTRL KYOTOのオープンな環境で異分野のクリエイション・テクノロジーと刺激を与え合いながら研究活動をスタートさせています。

2Fのシャワールームを改造したラボで、研究を行いながら、異なるジャンルのコミュニティとのコラボレーションや、「培養肉」について理解・関心を持つ人を対象にしたイベントやワークショップの開催、研究プロセスの発表など、オープンに外部と接続する試みを実施する予定です。

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▲ MTRL KYOTO 2Fシャワールーム内にDIYラボを製作

▼活動の様子は、CreativeCells Kyotoブログ・twitterにて随時発信されています。
・blog : https://cleanmeat-kyoto.hatenablog.com/
・twitter : @CleanmeatKyoto

『CreativeCells Kyoto』の活動主旨

我々は、東京を中心に活動する”Shojinmeat Project”(https://www.shojinmeat.com/)の関西メンバーです。
Shojinmeat Projectは、生命科学、培養工学、再生医療の技術や知見を応用して、「細胞を人工培養してつくった食用肉(我々は “純肉;clean meat” と呼んでいます)」の実現を目指す団体です。

現在、世界的に加速する人口増加を背景に、これまでの食料生産方法では将来的に食糧供給が追いつかないことが予想されており、その食料生産方法の中でも特に畜産業にはさまざまな問題点があることが指摘されています。

その一つとして、エネルギー問題があります。一頭の家畜を育てるためには、大量の穀物や水が必要になり、1kgの牛肉をつくるのに、穀物が11kg、水が2000リットル必要だといわれています。残念ながら現行の畜産方式では、限りある地球の資源を大量に消費してしまっています。

もう一つの問題に、環境問題があります。家畜の排出する二酸化炭素やメタンガスが地球温暖化の要因となっているといわれており、国連食糧農業機関(FAO)によると世界の温室効果ガスの18%が畜産業によるものとされ、この数値は自動車や航空機などの全ての輸送機関を含めた数値よりも大きいとされています。さらに、家畜を育てるには広大な土地が必要で、世界中で森林伐採や砂漠化の原因となっていることも指摘されています。

また、動物福祉や動物愛護の観点からも問題が指摘されています。食肉の需要が増加するほど劣悪にならざるを得ない家畜の飼育環境の問題があります。日本でも毎年のように発生する鳥インフルエンザはその典型例です。

このような畜産業の問題を解決しうるのが、人工培養肉(純肉)です。
動物に苦痛を与える必要もなく、牧草地もいらない。エネルギー消費も最少で済む。衛生的にも現行の畜産より優れています。

しかし人工培養肉(純肉)の生産を実現するには、技術的な課題がありますし、そもそも人々に受け入れられるか?といった問題もあります。

以上のような課題を解決するため、Shojinmeat Projectは培養技術の進展をめざした研究や倫理的問題を議論する勉強会、社会に人工培養肉(純肉)という概念を受け入れてもらうための普及活動などを行っています。

我々関西メンバーは、人工培養肉(純肉)実現のための研究活動はもちろん、関西で人工培養肉(純肉)を多くの方々に身近に感じてもらえるような企画、普及活動を行っていきたいと考えています。

MTRL KYOTOでの活動スケジュール(目標)

・2018年4月:有精卵から取り出した細胞の植え継ぎ法の確立
・2018年5月:培地を食品グレードに置き換える
・2018年6月:培養したもの(鳥肉の予定)が食せるレベルまで作る

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メンバー

馬渕諒真
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京都大学大学院を卒業後、現在は東京で勤務する傍ら同プロジェクトに携わる。実験計画立案等プロジェクトの進行役を担っている。生物を利用した産業に興味をもち、人工培養肉の研究を始める。大学院では、光受容タンパク質を専門とし、ヒトや動物が、目ではなく”脳で見ている光”を研究していた。

三好雄大
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京都大学農学研究科の修士課程学生。生物を利用した産業に興味があり、普段は大学院でカビからDHAやEPAなどヒトに有用な油を作る研究を行う傍ら、培養肉の研究を行う。倫理学にも興味があり、倫理学的な側面からも培養肉に関心がある。

日野太貴
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京都大学農学研究科で一酸化炭素を食べてエネルギーにする微生物の研究や微生物の休眠について研究する修士課程学生。生命の起源を追求することに一生を捧げたいと考えているが、基本にはやりたがり。人工培養肉に関してもコンセプトやその将来性に惹かれて首を突っ込んだ。関西から純肉について色々発信していければと考えている。

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  • FabCafe Kyoto編集部

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