Column

2016.7.18

【入居者レポート】デザインフィクションワークショップで無重力の世界を構想してみた

FabCafe編集部

Tokyo

MTRL生活2ヶ月目となりました、市原えつこです。大変お世話になっております。

連日様々なイベントを開催しているロフトワークさんのシェアオフィス、FabCafe MTRL。やはりというか、入居していると様々なイベント情報がなだれこんできます。

楽しそうだなと思いつつもしばらくは横目に見ながら仕事をしていたのですが、興味範囲とドンピシャなものをご案内いただいたため、とうとうこちらのイベントに遊びに行きました。

「Design Fiction Workshop vol.1 ー「物語の世界」で捉える、人間とコンピュータの10年後の未来」

もともとスペキュラティブ・フィクションに興味があった(そして作品がそれっぽいと言われることがちょいちょいあった)ので、それらについて理解を深めるきっかけになりそうだと思い参加してみることに。

■おおこれは本気な運営だ


気軽にふらっと参加したのですが、ガッツリと運営陣が固められていて面食らいました。すごい。今回のワークショップはレノボ・ジャパン、NEC、VAIOの3社が中心となって開催されたイベントで、賞品も豪華です。

私が入ったチームは、自分で会社を立ち上げられたコピーライターさん、経産省勤務経験ありのディレクターさん、国内大手企業の研究員兼デザイナーさん、空間デザイナーさん、アーティスト、という多業種チーム。平日にも関わらず、会社員・フリーランス・経営者など多くの人がワークショップに参加していました。

■修行のように未来のアイデアを出す

まずはアイデアの種となる未来予想を大量に書きだし、チームに紹介していきます。
得意分野だ、と思っていたのですが、時間制限があるので意外と疲れるぞ・・・
私は自己紹介も兼ねて、制作中の「デジタルシャーマン・プロジェクト」の紹介をしたりもしました。

その後も次々とアイデア紹介が続きますが、同じチームの空間デザイナー「ばっしー」さんが話していた内容にチームがざわつきました。

「僕はいま無重力に興味があるんです。無重力空間においては、建築や不動産という概念もきっと変わってくる。重力のあり方が変わった先にある僕らの生活の変化が最近気になってて・・・」

なにそれ斬新!!!ということでコアアイデアとしてこちらの無重力案を採用。おそらく全体的に人工知能系やVR系のプロジェクトが多いだろうから、切り口が他のチームと被らないのでは?という目論見も有りました。

■みんなで世界観を考える

たくさんのアイデアからコアアイデアを策定したところで、次のワークではグループでより精細に世界観を構築していきます。

―無重力空間となるのはどこか?そもそも日本なのか?でも我々にとっては日本の生活のほうがイメージしやすい。日本のどこかを「無重力特区」としよう。

―では特区にするのは何県だ?現在あまり観光都市として特色のない場所に新しい観光振興要素として持ち込むのがいいのではなかろうか。
鳥取とかはどうか?しかし鳥取砂丘の砂が舞うと大変だ。
滋賀県がいいんじゃないか?琵琶湖の水が浮いて、無重力空間を象徴する新しいアイコンになればいいんじゃなかろうか。
よし決めた、滋賀県を無重力特区としよう。

―不動産という概念も変わるんじゃないか?何しろ、動くんだから。
上に近づけば近づくほど地価が安くなるとか。

―無重力空間においてはどのようなファッションが流行しているだろう。
どこまでも動いてしまう無重力においては「接着できること」が重要なんじゃないか?
接着ファッションだ。接着屋というのもできるかもしれない。

―地図のGPSも精度が良くならないといけない。
何しろ、今度は「高さ」という概念が入ってくる。
x軸、y軸に加えて今度はz軸という指標がインターフェースに追加されるはずだ。

そんな議論が飛び交いました。本気です。

■理想の世界を生きるキャラクター・ストーリーを考える

世界観の設計をしたあとは、その世界を生きるキャラクターを考えていきます。さて、無重力の世界を生きる人々は、一体どんな人なのか・・・

私はここでは「ハイパーG(爺)」というキャラクターを考案しました。
無重力空間という、身体の制約が開放された世界では身体に負担がかからなくなる。そこでは寝たきり老人状態からリヴァイブした、重力を超えた新しいシニア世代が生まれるのではないか。
悪きをくじき、弱きを守るスーパーヒーローとして生涯現役を貫く男、ハイパー爺。
衣装はT.M.Revolutionさんの伝説のMVである ”HOT LIMIT” をオマージュしました。

同チームのコピーライターさんは、全身整形を施して無重力空間のネコ型待ち合わせスポットと化した悲しき元サラリーマンの男の人生を描いていました。
地上でサラリーマンとして生活したものの、困窮。「雲になりたい」と空を見上げ、今に至るそうです。つらい・・・。

そして発表に向け、チームが一丸となり追い込みをしていきます。コンセプトシートの作成、ストーリーボードの作成、コピーライティングなどなど、みんなで一斉にこなします。こ、これはハード・・・!

■さあ、発表

ついに発表本番。夢を共有できるサービス「夢Tube」や「FoodTech」など、様々なアイデアが発表されました。
そして我らのチーム、「New Air(無重力特区)」の発表です。

どうやら自分たちが思っていた以上に狂気じみた内容だったようで、会場がザワつきました。よっしゃ。

ランチとして支給されたお弁当箱を使ってプロトタイプをつくっていたチームもありました。可動式ドローンハウスだそうです。その発想はなかった・・・!(悔しい)

 

■ドキドキの受賞発表

ネットワーキングタイムの後、ついに受賞発表がありました。今回の審査員は、レノボ・ジャパン社長の留目さん、AR三兄弟の川田十夢さん、株式会社Cerevo代表取締役の岩佐琢磨さん、株式会社ABBALab代表取締役 さくらインターネット株式会社フェローの小笠原治さん、VAIO株式会社商品企画部 部長/商品プロデューサーの伊藤好文さん、脚本家の長谷川徹さんの総勢6名。

私たちのチームは「「頭おかしい発想枠」のロフトワーク賞(ストーリー、世界観、独創性)をいただけました!
わーい。審査員であるAR三兄弟の川田十夢さんと脚本家の長谷川徹さんによる救出でした、ありがとうございます。

贈賞コメントとして、川田さんから「頭がおかしい」「発表者たちの目がヤバい」「できれば一緒に写真にうつりたくない」とお褒めの言葉をいただけて光栄でした。

グランプリはドローンを利用したモビリティの高い可動式住居。
地震があってもOKで、居住地を自在に選ぶことができます。ぶっ飛び具合いと現実味のバランスが程よい提案でした。

■普段の生活では得られないインプットの重要さ

このワークショップでは、テクノロジードリブンではなく、「人間にとっての本質的な幸せとは何か?」という目線から未来を構想することを促されていたのが個人的に新鮮でした。
フリーランスになると意外と腰が重くなる部分があり、イベントごとよりもつい案件の納期を優先してしまいがちです。入居しているシェアオフィスの運営会社でこういった愉快なイベントが開催されることで、自分への良いインプットに繋がるなと思いました。
FabCafe MTRLやロフトワークさんでは連日愉快なイベントが目白押しなので、また参加してレポートしたいと思います!

Author

  • FabCafe編集部

    FabCafe PRチームを中心に作成した記事です。

    この記事に関するご意見やご感想は、ぜひお気軽にこちらからお寄せください。
    お問い合わせフォーム

    FabCafe PRチームを中心に作成した記事です。

    この記事に関するご意見やご感想は、ぜひお気軽にこちらからお寄せください。
    お問い合わせフォーム

FabCafe Newsletter

新しいTechとクリエイティブのトレンド、
FabCafeで開催されるイベントの情報をお伝えします。

FabCafeのビジネスサービス

企業の枠をこえて商品・サービスをともに作り上げていく
FabCafeのオープンイノベーション