Column

2016.8.11

記憶や体験を皆でシェアしあうことから生まれる、「日本茶をもっと楽しむ」方法。”TEA of MTRL” PROJECT Meeting #1 レポート

FabCafe Kyoto編集部

“TEA of MTRL” PROJECTとは

“TEA of MTRL” PROJECT は、日本茶を “素材” と捉え、コミュニケーションのかたち・場面から、「喫茶 = お茶を楽しむ時間・場・行為・体験」をデザインすることを試みるプロジェクトです。今年4月のキックオフでは、多様な切り口からお茶に関わる人たちで新しいシーンの可能性を探る公開ミーティングを開催し、多数の方に来場いただきました。以降も、オープンなディスカッションとアイデア共有の場を設けるべく季節ごとに定期的なミーティングを実施し、また、facebook公開グループを作成し参加者同士が自由に交流・意見交換できるコミュニティをつくっています。

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▲ キックオフのようす。茶の生産者、小売を営むお茶屋さんから、煎茶器の窯元、若手の茶人、日本茶スタンドを立ち上げた起業家、茶園のブランディングを手がけるデザイナー、お茶を愛するクリエイターまで、多様な切り口から日本茶に関わる人たちが集まりました。

第1回、「皆で考える」オープンミーティング

本プロジェクトでは、「シーンから考える」ということが、ひとつのキーワードとなっています。今回のテーマは「夏こそ日本茶」。夏本番を迎え、「水分やミネラル補給の観点からも、お茶を飲む機会は実は増える時期なのでは?」「それなら、形にこだわらず日本茶を堪能するには、夏はむしろ最適なシーズンなのかもしれない!」…そんな観点から、皆で「夏の日本茶」を考えてみました。

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▲ キックオフに続き、今回もさまざまな角度から「お茶」に関わる人が集まってくださいました。

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▲ 当日は、”ウェルカム日本茶”として、「冷たい水出し玉露」「熱々のほうじ茶」「懐かしいグリンティー」をご用意。グリンティーのサーバーは、「京都で2番目に新しいお茶屋さん」の梅香庵茶舗さんよりお借りしました。

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▲ 今回のミーティングは、前半:プレゼンター2名による提案(a.k.a「俺の話を聞いてくれ!」)と、後半:会場の皆さんがフラットに意見を述べ合うインタラクティブトークの2部構成。前半のプレゼンターは三浦 大治さん(緑茶男子)と藤田 大次郎さん(tea channel)でした。

インタラクティブトーク「夏と私と日本茶」

当日は、会場に来られた皆さんから「夏と私と日本茶」をテーマにひとことワードを集めて貼り出し、それらをもとに「夏のお茶にまつわるシーン」の記憶や体験を引き出し共有するインタラクティブトークを展開。

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▲ イベント参加者の皆さんが、それぞれ付箋に「夏と私と日本茶」をテーマに書き出したひとこと。「なるほど」と思うものから「えっ、それどういうこと」な疑問を引き起こすものまで、個々人の記憶や体験に基づく様々なワードが出てきました。

地域性や各家庭の「Myルール」によるお茶事情が垣間見えたり、夏ならではの温度へのこだわりが議論を呼んだり… 体験や記憶を共有することで、「お茶を楽しむ」シーンを捉え直し、そこに潜むニーズや可能性を感じられる時間となりました。
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みえてきたキーワード

「夏の日本茶」をテーマに出てきたさまざまな意見・アイデアを会場でグルーピング。”シーンから考え”た結果、みえてきたものとは?

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(▲ 会場でのメモ)

たとえば、”温度問題”。「涼を取るため冷たいお茶を飲みたい?」「いやいや、暑い時期こそ急激に体を冷やさないように熱いお茶を飲むほうがよい!」など、意見が割れたのが温度についての話題でした。冬よりもむしろ夏、お茶の温度については強く意識されます。どちらにもそれぞれの美味しさがあり、一概にどちらかが正しいというわけではありません。たとえば「炎天下の昼の来客」というシーンを考えた時、コミュニケーションのかたちによって、相手に振舞うお茶の熱い/冷たいも変わってくるかもしれないという気づきがありました。

「私にとって夏のお茶は、実家で飲んでいた麦茶なんだけど、これは日本茶といっていい?」という声がちらほら(”麦茶問題”)。また、関連して、ほうじ茶に塩を入れて沸かしたり、やかんを流水で冷やしたり、「我が家ではこうだった」という記憶と実体験に基づく話題が盛り上がりました。ひとくちに「家で飲んでいたお茶」といっても、そのスタイルは様々。ですが、「夏を快適に過ごすために、暮らしの中で欠かすことのできない存在」として傍にお茶があったことは、ふだん皆あらためて意識はしていなかったけれど共通して持っている原体験だったように思われます。

などなど、今回のミーティングでは、幾つものアイデアや意見から「夏の日本茶」に関わるキーワードを引き出されました。ここで見えてきた「シーン」を題材に、新しいサービスや製品の企画・開発を実験することもできそうです。

「日本茶」を媒介にしたコミュニティ

“TEA of MTRL” PROJECTでは、

・オープンミーティングの継続的な実施
・オンラインの交流・情報共有の場(facebookグループ)

…というリアル/オンラインのプラットフォームを土台に、新しいサービスやプロダクトの開発、イベントの実施をサポートするコミュニティを形成することを目標にしています。
「日本茶」という日本の風土歴史に根ざした文化をキーワードにした新たなコミュニケーションのデザインを、今後も試みていきます。

(text : MTRL KYOTO 木下浩佑)

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▲ 会場では tea channel 藤田さん考案の「抹茶ビール」と「緑茶おにぎり」も販売。MTRL KYOTOの新メニューとしてその後も提供しています。鮮やかな緑色が目にも涼しいだけでなく、ビタミン・ミネラル・食物繊維を豊かに含んだ抹茶は、ワーク中の疲れをとる1杯にも実は理想的。コワーキングスペースとの意外な相性が発見でもありました。

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